決意表明は渡辺棋王・佐藤八段の順に行われました。
(渡辺棋王の決意表明)
本日は前夜祭にお越しくださり、ありがとうございました。
新潟県は私にとっても縁が深いところです。新潟市はもちろん、柏崎や上越、中学生のときにホームステイで糸魚川に行きましたし、湯沢のほうで対局したこともあります。
おそらくいったことがないのは新潟競馬場くらいかなと(笑)。新潟県は大体のところにいっています。タイトル戦でかなりの対局を新潟県で戦っています。残念ながらすべて勝っているわけではありませんが、勝った数は結構多くて大変相性のいいところです。
今回の五番勝負は早いもので第3局です。五番勝負は始まるとあっという間にどんどん過ぎていく感覚があります。後輩の佐藤天彦くんを挑戦者に迎えました。彼とは親しくしていまして、家で遊んだり、ゲームをしたりした間柄です。いまこうして五番勝負で争うことは、当時のことを思うと感慨深いです。
天彦くんはこの1、2年でもっとも伸びた棋士で、春からの名人戦の挑戦者になりました。いつかは必ずタイトルを取ると思うんですけど、それは次の機会にしていただいて、今回の棋王戦は遠慮してもらえれば(笑)。
それは冗談としましても、昔から知っている仲の棋士と大きな舞台を用意してくださり、技を競い合えることはうれしく、やりがいがあります。
その中で、互いに将棋がますます高まっていけると思います。いい機会を与えてくださったので頑張りたいです。
明日は年に1回の新潟対局を楽しみにしてくださっているファンの方が多く観戦にこられると思いますので、期待を裏切らないように力いっぱい指したいと思います。短い滞在ですが、どうぞよろしくお願いします。
(佐藤八段の決意表明)
僕にとって棋王戦は第1局の松山と第2局の金沢は初めてでした。新潟は別のタイトル戦できたことがあって、2回目になります。そのときはあまり見て回れなかったのですが、おいしいお米をいただいたことが印象に残っています。
私は出身が福岡。そこから千葉に出てきて、そのあとに東京で一人暮らしという感じです。雪とは縁の薄いところに住んでいました。前回のタイトル戦で新潟を訪れたときは冬ではなかったので、今回は新潟の雪景色に期待と不安があったのですが、きてみたら暖かかったのは驚きました。雪を見るのはまたの機会に持ち越されましたが、寒いよりは暖かいほうが対局する側としてはありがたいので、そちらに合わせてもらったのかなと思います。
五番勝負は第3局を迎えまして、渡辺さんもおっしゃっていましたが、10代のころからの友人です。渡辺さんはタイトルを持つなどの活躍していて、僕としても目標としてきた存在です。その形からすると、ふたりでタイトル戦を戦うなら、自分が挑戦していくしかないと思っていました。こうして実現できて、夢のようというと大げさかもしれませんが、仲のいいふたりでタイトル戦を戦えるということで、照れくさいですが、絆が深まるところがあるかもしれません。また、当たり前ですけど、あらためて手ごわさを感じることもあります。
今回の対局は、勝ったほうがタイトルにあと1勝になる一局です。
先ほど、渡辺さんが新潟は相性がいいとおっしゃっていましたが、第2局の金沢のときも相性がいいといわれてプレッシャーをかけられました。さすがにそんなことはもうないだろうと思ったのですが、まさか2局連続で同じようなことをいわれるとは思いませんでした(笑)。明日も金沢のときと同じようにジンクスを破れるように頑張りたいと思います。