(終局後、場所を移して記者会見が行われた)
山本「今日は勝てて、とてもうれしかったです。途中でトラブルがあって残念でしたが、最後まで動いてくれてよかったです」
下山「今年のPONANZAは去年と比べて、かなりこだわって調整しました。その甲斐あって、力強い戦いができました」
佐藤天「本局は全体的にPONANZAに形にとらわれない正確さを感じました。中盤まではある程度勝負できましたが、PONANZAの力強い指し回しで、私の盲点になった手で形勢を離されてしまい完敗でした。残念です」
勝又「本日の立会人を務めました勝又です。先に中断した理由について報告いたします。1回目について、山本さんからPONANZAに不具合の可能性があると報告があり、 スタッフと調べて、PONANZAに起因する問題ではないと判断しました。『何らかのコンピュータのトラブルがあり、原因がコンピュータ将棋ソフトに起因しない場合、復旧にかかった時間は、消費時間に含めない』と対局ルールにあります。
両対局者合意のもとに消費時間に含めないようにしました。立会の私の判断です。
現時点では、原因の特定は不明です。また、中断が1時間と長くなったのは、実は復旧作業自体は時間がかからなかったのですが、原因不明なため、再開後にPONANZAがもし誤った指し手をすると、戻せないので検証する必要があり時間を要しました。将棋は待ったができませんのでその点をご了承ください。
2回目については、1回目の復旧作業に不足があって、電王手一二さんに正確な 通信が送れない可能性が出てきました。それで電王手一二さんには関係ないトラブルですが修正作業のために中断しました。視聴者の皆さんには長い時間待たせてすみませんでした。
立会人から見た総括ですが、プロ棋士になる前の、23年くらい前からコンピュータ将棋を見てきました。
名人に勝ちたい、タイトルホルダーに勝ちたいといっていました。私は棋士ですから、将棋界のトップが負けるのは悔しいですが、ようやくここまでたどりついたのだなと思いました。
森田将棋の森田和郎さんは亡くなられましたが、この世界での先駆者ですので、喜んでいらっしゃるのではないかと思います」
佐藤秀「昨年の第1期電王戦の山崎隆之叡王との対戦も間近で見ていましたが、今年はさらに隙がないよ うに感じました。
天彦さんも叡王や名人として威信をかけて精一杯戦っていらっしゃったが、意表を突くというか、ショックを受ける手が出て、今日のような将棋になってしまったのではないかと思います。第2局にも期待します」
本局の中継は以上で終了します。ご観戦ありがとうございました。第2局もお楽しみに。
(書き起こし・銀杏、写真・吟)