(渡辺竜王。6連覇達成の翌朝)
(「水明館」の中庭で報道陣による記念撮影)
(対局を陰で支えてくださった「水明館」のみなさんと)
(関係者一行は午前の特急で下呂温泉を出発。森内九段は朝一番の特急で帰京した)
(桜木)
(感想戦は40分ほどだった。両者一礼し、シリーズが終了した)
(退出する森内九段)
(渡辺竜王には対局室で改めてインタビューが行われた)
(様々な質問が飛ぶ。「ご家族は一局一局の勝敗では何も言わないと思いますが、防衛となったらどう出迎えられるのですか? 報告はどんな風に?」「私が竜王戦に出はじめたころからインターネットがありましたし、結果は知っていると思いますので特に報告はしないです。変わりませんよ」)
(「竜王戦はなぜ強いのですか?」「いや、えーと、一生懸命やっているからでしょうか? 2日制が特に向いているわけでもないと思いますし。注目される大きな舞台で、自分の力以上のものが出ています」)
(おやつのモンブランは最後まで手をつけられなかった)
(桜木)
【日浦市郎七段】本局は渡辺竜王の完勝でした。森内九段としては実力が発揮できずに終わってしまいました。この将棋で一番印象に残ったのは48手目△2二角(日浦図)でした。僕はこの手を指されるまでまったく気づきませんでした。一歩間違えば単なる壁駒になりかねないこの角打ちに森内九段としては本局の命運を懸けたのですが、結果的にはうまくいきませんでした。ただ、この角打ちに代わる手も難しい。△6五銀とぶつける手も考えられましたが、▲同銀△同歩▲7三角△8一飛▲7二銀△4一飛▲8四角成という手がある。もしかするとその局面で渡辺竜王の研究範囲だったかもしれないと思います。今期の竜王戦は全体を通して渡辺竜王の充実振りが目立ったシリーズでした。近いうちに竜王以外のタイトルも取るような気がします。
【佐藤和俊五段】
本局は渡辺竜王の快勝となりました。私が一番印象に残った手は49手目の▲9六香(佐藤図)です。指されてみればこの局面では普通の手ですが私は▲7四歩が第一感だったので非常に落ち着いた一手に感じました。 45手目の前例を離れた▲7五同歩も堂々とした手ですが、その後▲9六香、▲7四歩、▲7三歩成と指したい手を全部指して勝ってしまったという一局でとても強い勝ち方だと思います。森内九段にとっては力の出ない将棋になってしまいましたが、初日が終わったところでやや先手が厚いと私は見ていたのでひょっとしたら将棋の作り自体があまり良くなかったのかもしれません。このカードが4局で終わるのはちょっと信じられませんがそれだけに渡辺竜王の強さと充実ぶりが際立ったシリーズだったと思います。
【澤田真吾四段】私が印象に残った手は45手目の▲7五同歩(澤田図)です。前例では▲6六角と打ちましたし、実際私は▲6六角と打つのではないかと思っていました。この▲7五同歩は相手に有効な攻めがないのを見越した好手だったと思います。
一局を通してですが、42手目の△9五歩以降、森内九段の攻めは細く、渡辺竜王の方が若干良かったのではないかと思います。
(桜木)
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【渡辺竜王の話】「難しい将棋だったと思うのですが、2日目に入って少し指せる気がしていました。と金を作って、▲7四角と反撃に転じたところは、攻める順番が回ってきたので良くなったと思います。今シリーズは全体的に納得のいく将棋が指せたので、それが良い結果に繋がったのかもしれません。竜王戦では実力以上のものが出せているかなと思います。いつもと変わらず特別な心構えはありませんでしたが…昨年のようなこともありますので、一生懸命指そうと思いました。竜王戦は毎年目標にしていますので、結果を出せたのは非常に嬉しいですね」
【森内九段の話】「途中から攻めさせられる格好になってしまって…本譜の攻めが無理だとすると、作戦的に良くなかったのかもしれません。シリーズを通して完敗でしたね。チャンスらしいチャンスも作れませんでした。内容的に見て、この結果も仕方ないかなと思っています」
(終局直後。報道陣がなだれこむ)
(竜王位防衛を果たした渡辺竜王)
(両対局者にすぐコメントがとられた)
(まずは勝者から。インタビューを受ける渡辺竜王)
(森内九段)
(「完敗でした」と唇を噛む)
(桜木)
渡辺明竜王に森内俊之九段が挑戦する第22期竜王戦7番勝負(読売新聞社主催)第4局は岐阜県下呂市「水明館」で行われ、93手で渡辺竜王が勝ち、4連勝で竜王位を防衛、6連覇を達成しました。
(対局室の映像)
(検討の手は止まり、関係者はモニターを注視している)
(モニターには両対局者と盤面が映されている)
(桜木)