カテゴリ「第22期竜王戦七番勝負第1局」の記事 Feed

2009年10月15日 (木)

Ryuou200910142_64 △7四歩の局面について、山本真也五段のコメントです。
Ryuou200910142_64_henka 昼食休憩後、指されたのは△7四歩。この手は検討していなかった。思わしい受けが無かったのかそれとも受けなくても大丈夫と見たのか。先手は当然▲4四歩を考える。それに対して通常は△4二金だが△4四同銀も考えられる。以下▲4四同角△同金▲同飛△2六角(参考1図)。それは後手が良い。
Ryuou200910142_64_henka2 そこで△4四同銀に▲2四歩△同歩を入れてから同じように進めれば、△2六角の時に▲3四飛△3三歩▲2四飛△3七角成▲4三歩△同銀▲4四歩(参考2図)。こうなれば先手優勢である。
Ryuou200910142_64_henka3 ゆえに▲4四歩には△4二金と引くつもりであろうか。以下▲4五銀△5三銀(参考3図)までは気持ちが良いがそのあとが意外に難しい。▲5六銀と引くのも面白い手だが△2六角がある。
Ryuou200910142_64_henka4 あとは▲4四歩を打たずに▲3五歩△同歩▲4五銀(参考4図)と攻める手も考えられる。ここでうまい攻めがつづけば森内九段が優勢になりそうである。
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(14時から大盤解説会が始まっている。ケーブルの終発は17時半だが、30人以上の方が見守っている)

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(藤井九段)

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福崎九段「そうですねぇ。例えば▲4四歩に金を寄って(△5三金)桂を跳ねると…(▲4五桂)。これはみなさんケーブルで帰れますね」

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(さっそく、△7四歩の局面で次の一手を出すことに。▲4四歩・▲2四歩・その他の3択問題)

(翔)

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(先に入室した森内九段は、西條記者と言葉を交わす)

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(まもなく渡辺も入室。13時25分頃だった)

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(再開直後)

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(昼食休憩の盤面)

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(厳しい表情で考える渡辺明竜王)

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(手番でない森内俊之九段はどっしりと座っていた)

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(対局室近くの廊下から。よく晴れていて琵琶湖がきれいに見える)

(翔)

昼食休憩の局面、阪口悟四段からコメントをいただきました。

Ryuou200910141_56_2  渡辺竜王がうまく自陣を整備し△8五飛と揺さぶりをかけた局面。
ここで▲7五歩△同飛▲3七桂△8五飛▲7六銀として7七に角を打つスペースを開けたのがうまい切り返しでした。角が加わることで4筋に攻めの厚みが出てきました。
Ryuou200910141_63_3 現局面(▲7七角まで)ですが次に先手に▲4四歩と打たれてはいけないので、△4四歩と受けるのが一目見えます。しかし以下▲4五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4五銀△4四歩▲3四歩(参考1図)と攻められ、受けるのは容易ではありません。
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Ryuou200910141_63_henka2▲4五歩に△5三銀と上がる受けも、以下▲4四歩△同銀右▲4五銀△5五歩▲4四銀△同金▲4五桂△4二銀▲5三銀(参考2図)で攻めが続きます。
私の現局面の見解は先手が押しているように思います。
やはり戦場に玉が近いので後手としましては、1つ間違えればすぐに負けてしまいますので心理的にも先手が楽だと思います。

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(検討の途中で封じ手から現局面まで並べ直して、手の流れを確認)

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(現局面は▲7七角まで。上の写真のあと、△4四歩は▲4五歩△同歩▲3五歩が面倒ということで、△4六歩▲3五歩△2六角▲3八金△3五角▲4五桂△4四銀▲3六歩△2六角▲4六飛△5五歩▲同銀△同銀▲同角△4四歩▲4九飛…という順を調べていた)

(翔)

Ryuou200910141_56 56手目△8五飛の局面について、長岡裕也四段に形勢判断を含めてコメントしていただきました。
Ryuou200910141_38_21日目から森内九段の攻勢が続いていましたが、渡辺竜王の34手目△6三銀、50手目△5二銀、52手目に△3三銀と3度も銀を引く辛抱によって局面が収まりました。
38手目に△4三金(第1図)と上がらせた局面は先手ペースだと思いましたが、現局面を見ると後手陣が見違えるように安定しました。
対して、先手は2度▲4五歩と合わせたもののあまり効果が上がっておらず、第1図と比べてもあまり手を指していません。ここ20手程で、だいぶ後手が得をしたのではないでしょうか。
Ryuou200910141_56_henka1 56手目△8五飛と浮いた局面ですが、この手は△2五飛と取る手を狙っています。▲3七桂と受けるのが自然ですが、それには△3五歩(参考1図)と仕掛ける手があります。
後手陣が安定しているので、先手としては攻められる展開は避けたいところです。
Ryuou200910141_56_henka2 次に受ける手は▲4五歩で、これが一番手堅い手です。以下△5五歩▲4七銀△5四金▲3七桂△4三銀▲5八金△5二金(参考2図)が一例で、後手は下がった金銀が活用でき、先手は押し戻されています。こうなると先手がつまらないでしょう。
Ryuou200910141_56_henka3一番積極的な手は▲7五歩。△同飛と取らせて技をかけようという狙いです。そこで▲4四歩△同銀▲6六角は△2五飛▲4四角△同金▲同飛△4三歩▲3七桂△2九飛成▲4八飛△1九竜(参考3図)と進み、歩切れが痛く先手不利。
Ryuou200910141_56_henka4 よって△7五同飛には▲3七桂と跳ね、△8五飛(参考4図)と戻らせて手があるかどうか。少し先手の攻めが手薄い気がします。
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