2019年12月 7日 (土)

記者会見

大盤解説会場では引き続き豊島将之新竜王の記者会見が行われました。

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――改めて伺いますが、竜王・名人を保持したことについて、感想を教えてください。

豊島 竜王・名人になられた方は偉大な棋士ばかりですので、自分がここまでできるとは思いませんでした。

――竜王として、10人目の竜王です。

豊島 竜王戦は挑戦者になるどころか挑戦者決定三番勝負も今回が初めてでしたので、竜王になれたのは意外な気がします。

――広瀬前竜王の印象は、シリーズ前と後で変わりましたか。

豊島 戦う前から終盤が正確で切れ味が鋭い将棋という印象があって、それは変わりません。ただ、序中盤でこちらが不利になることが多かったので、そのあたりの研究やセンスのよさを感じました。

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――次の目標は?

豊島 今年は棋聖戦と王位戦で防衛を失敗していて、まだ防衛したことがないので、来年は防衛を目標に頑張っていきたいと思います。

――竜王の奪取を決めたのは角換わりでしたが、名人の奪取も角換わりでした。角換わりへの思いを教えてください。

豊島 角換わりは好きな戦法であるんですけど、名人戦のときは序中盤でうまくいくことが多かったんですが、今回は先手番の角換わりは苦戦になってしまうことが多かったので、段々と厳しくなっているような気がします。

――今期竜王戦の思い、今だからいえることはありますか。

豊島 2つ続けてタイトル戦で負けていたので流れはよくはなかったんですけど、気持ちを切り替えて一局一局、頑張っていこうと思いました。第1局は際どい将棋だったんですけど、先勝することができたので、悪い流れを払拭して竜王戦に入っていくことができたと思います。

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――愛知県一宮市に帰省されたとき、「竜王を獲っても二冠に復帰するだけで、いまの勢力図ではトップではない」とコメントされていました。いま竜王を奪取されて、改めて将棋界の勢力図や立場はどう思っていますか。

豊島 内容的にも際どい将棋が多く、偶然勝てているのか実力で勝てているのか、自分でも分からないところがあります。渡辺明三冠は非常に充実した内容で指されていますので、より一層頑張っていかないと厳しいかなと思っています。

――本局の最終盤、どのような気持ちで指していましたか。

豊島 最後のところはよく分からないまま指していて、その前ははっきり悪いという自覚がありました。でもまだ自分の力では負けを読みきるというレベルではなかったので、あきらめずにチャンスを探していました。

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――津和野の印象を教えてください。

豊島 温かくよくしていただいて、ご飯も美味しいですし、いいところだなと思います。

――食事についてはいかがでしょう?

豊島 2日目のおやつは局面が切迫していて食べられなかったですが、厳しい戦いのなかで食事やおやつで気分転換できたかなと思います。

――シリーズのなかで最も印象の残った将棋や一手はありますか。

豊島 どの将棋も印象に残っていますが、第1、3、5局が際い将棋でした。特に第3局は負けの時間が長く、▲2一角がぴったりで詰めろ逃れの詰めろになったので、その辺りでしょうか。

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――将棋以外でいましたいことは?

豊島 タイトル戦が4月から途切れることなく続いていたので、少しゆっくりしたいですね。竜王戦で第6、7局の会場で祝賀会をやっていただくので、それを楽しみにしています。

――この1年を振り返って、いかがでしょうか。

豊島 4つのタイトル戦に出たのは自分のなかでいちばん多く、課題がたくさん出てきましたし、非常に勉強になった一年で、竜王と名人を獲得することができたので、よかったと思います。

――課題というのは、具体的に何ですか?

豊島 色々ありすぎて。竜王戦に関していえば先手番の序中盤がうまくいかなかったので、そのあたりです。棋聖戦と王位戦では別の課題が見えていますので、それをクリアしていけるようにやっていきたいと思います。

――ファンの方へのメッセージをお願いします。

豊島 竜王戦は10月から始まって、ずっと観戦していただきましてありがとうございます。本当に際どい将棋が多かったんですけど、ファンの皆様に見ていただいたり、応援していただいたのが励みになって結果を出すことができました。今後も精進していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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(書き起こし=紋蛇記者)
(写真=潤)