2019年11月 8日 (金)

前夜祭(7)

Img_7419_senkei01_2 (立会人による見どころ紹介)

谷川浩司九段(以下、谷川)「今回、立会人を務めさせていただきます谷川でございます。神戸大使の任命も受けておりまして、先ほど皆さまのお話を聞いていると、明後日の大盤解説会までいらっしゃる方も大勢おられましたので、明日は神戸観光を楽しみながら、明後日は大盤解説会に来ていただければと思います。小林七段の印象としては、ここまでの2局を振り返っていかがですか?」

小林裕士七段(以下、小林)「やはり戦型は角換わりか相掛かりが中心かなと思っていて、ふたりとも終盤がものすごく強いので、2局とも迫力があったと思います」

谷川「豊島名人は昔からずっと居飛車党ですよね。広瀬竜王は初めて王位のタイトルを獲ったときは振り飛車で『振り穴王子』と呼ばれたりしましたが、そこから棋風を変えて居飛車党になっていますので、戦型は居飛車の角換わり、相掛かり、矢倉などが有力になるでしょうか。先ほど小林七段が『ふたりとも終盤が強い』と言いましたが、少し強さの質が違うと言いますか、豊島名人のほうは終盤が正確な感じで、広瀬竜王のほうは終盤に鋭さがあるように思います」

小林「その辺は一流の方の視点で、私はそこまでちょっと分からないです(笑)」

谷川「ふたりの調子については、どう見ていますか?竜王戦に限っては2勝0敗になっていますが、内容的にはほとんど五分で逆の目になっていても不思議ではないと思いますが」

小林「ただ、昨日の広瀬竜王の対局(石川陽生七段戦)は危ない内容だったみたいで、相手の方が最後、間違われて逆転勝ちをされていました」

谷川「そういう意味では、昨日の今日ですから、気分よく神戸に来たとも言えますでしょうか。明日は戦型によって1日目の進行は違うでしょうね」

小林「最近の序盤はハイペースで、中盤からスローペースにというパターンが多いように思います」

谷川「いま、将棋界でいちばんの流行形に角換わり腰掛け銀がありますが、それだと1日目は相当進みそうですね。相掛かりはまだそこまで定跡が整備されていませんから、角換わりほど指し手は進まないかなと。明後日は、私の弟子の都成が大盤解説をやるのですが、私も小林七段も合間を縫って少し顔を出したいと思っています」

Img_7447senkei03_2 (第4期竜王戦七番勝負第5局の神戸対局では竜王の立場で戦った谷川浩司九段)

Img_7425_senkei02_2 (早見えの攻め将棋でお馴染みの小林裕士七段)

(書き起こし=夏芽記者、撮影=虹)