2017年6月の記事

2017年6月26日 (月)

Dsc_0545_3 (藤井四段の29連勝を伝える読売新聞号外)

新記録達成に棋士、藤井の関係者からコメントが寄せられている。

◆羽生善治三冠
29連勝は歴史的な快挙です。 
結果も素晴らしいですが内容も伴っている点でも凄みがあります。この記録は時がたつにつれ重みを増してくるはずですし、将棋界の新しい時代の到来を象徴する出来事になりました。檜舞台で顔を合わせる日を楽しみにしています。

◆谷川浩司九段
新記録おめでとうございます。
タイトル戦の本戦に勝ち進むようになり、トップ棋士との対局も増えてくると思います。10代半ばの一番強くなる時期に、トップ棋士と戦えるのは幸せなこと。トップとの差は何なのか。実際に肌で感じることでまた、大きな可能性が開けてくるでしょう。

◆神谷広志八段
28という完全数は一番好きな数字ですのでそれが1位でなくなることは個人的に少々寂しいのですが凡人がほぼ運だけで作った記録を天才が実力で抜いたというのは将棋界にとってとてもいいことだと思います。
藤井さんがこれからの数十年でどんな世界を見せてくれるのかファンの皆様とともに寿命の限り見続けていきたいです。

◆杉本昌隆七段
竜王戦本戦という大舞台で神谷八段の記録を抜く29連勝は驚愕です。師匠の私も至福の時間をもらいました。28連勝を達成した帰り道、いつもと同じようにずっと将棋の話をしていたのが印象的で、このとき29連勝を確信しました。
歴代連勝記録のトップに立ちましたが、14歳の藤井四段にとってこれは序章。一喜一憂せず、これからもさらなる記録を目指して精進してください。

◆次戦、7月2日(日)の対局者・佐々木勇気五段

藤井四段の対局を間近で見て、今の将棋界の盛り上がりを肌で感じました。私も刺激を受けていますが、周りの雰囲気に飲まれずに連勝を止める気で臨みます。
藤井四段の勝ちへと導く読みとスピードに凄みは感じますが、それに怯むことなく自分の将棋を指していきたいです。ファンの方には一生懸命考えている姿を見ていただきたいですね。熱戦に期待してください。

◆母・藤井裕子様
このような記録を達成することができ、本当にすばらしいと思います。一局一局を大切に、これからも「強くなる」という目標に向かって進んでいってほしいです。

本局の中継は以上で終了します。ご観戦ありがとうございました。
 

Dsc_0465 (記者会見場に入る佐藤康光・日本将棋連盟会長と藤井四段)

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佐藤康光会長 本日はこのように多くのみなさまに長時間に渡りまして、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。藤井聡太四段が本日、勝ちまして、29連勝という新記録を達成いたしました。本当に大変な記録を達成してくれたなという気持ちです。
これからもますますどうなるか楽しみですけれども、一局一局に注目していただければと思います。

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―― 藤井四段、今日はお疲れ様でした。今回、29連勝というとてつもない大記録を達成したわけですが、いまの率直な気持ちをお願いします。
藤井四段 そうですね。自分でも29連勝というのは想像もできなかったことで、喜びとともに、非常に驚いています。
―― 21日に28連勝のタイ記録を達成されてしばらく日にちが空きましたが、今日はどのような気持ちで迎えられましたか。
藤井四段 今日は強敵の増田四段で、また、竜王戦決勝トーナメントという大きな舞台ということもあって、連勝記録自体は意識しないようにと気を引き締めて臨みました。
―― これでこれで29連勝目なのですが、昨年の加藤九段との初対局から思い出、印象に残る対局がありましたら、ご自身の感想も添えて教えていただけますでしょうか。
藤井四段 初戦の加藤先生に教えていただいた対局が印象に深いですね。加藤先生の迫力ある闘志を、盤の前で実感できたというのは本当に貴重な経験だったと思います
―― タイトル戦では竜王戦で決勝トーナメント、棋王戦で挑戦者決定トーナメントに進出されています。初タイトルの最年少記録は18歳6カ月ですが、これについてはどうお考えでしょうか。
藤井四段 まだまだ実力をつけることが必要だと考えているので、タイトルを狙える位置まで、まず実力をつけたいと思います。
―― 非常に嬉しい結果になったと思いますが、いま誰にその気持ちを伝えたいですか。
藤井四段 家族と師匠には連絡したいと思っています。
―― まだプロになられたばかりですが、最後に今後の目標をお聞かせください。
藤井四段 実力を高めて、タイトルを狙う棋士になりたいと思っています。
―― 28連勝のときと29連勝。タイ記録と新記録という違いがありますが、感情的にはどのような違いがありますか。
藤井四段 やはり単独1位になれたというのは自分でもいままでと違った、特別な感慨があると思います。
―― 29連勝ということで、先ほど自分でも想像できないということをおっしゃっていましたが、いまどこまで勝つのか、いつ負けてしまうのかとすごく注目を集めていますが、ご自身としてはどういうプレッシャーがかかっているのか。また次は30連勝ということでまた大台になるのですが、連勝に対する意識を教えてください。
藤井四段 連勝記録というのはいつか必ず途切れてしまうものでもあるので、自分としては連勝は意識せずに、一局一局全力を持って指していきたいと思います。
―― プレッシャーはありますか。
藤井四段 これだけ注目していただいて、緊張というかプレッシャーはあるのですけれども、それに押しつぶされてしまってはよくないので、なるべく自然体で指すように心がけています。

Dsc_0525 (29のボードを手に微笑む藤井四段)

Dsc_0535
(書き起こし・独楽、写真・吟)

65▲2一歩成としたのが図の局面。「鋭い攻めです。先手の攻めが振りほどきにくくなっています。先手が勝勢だと思います」と門倉五段。

Dsc_0239 (29連勝に突き進む藤井四段)
 

55図は▲2二歩と藤井四段が打った局面。△同金は▲3一角成がある。後手は飛車を質にしていて、楽しみはある。まだまだ難しい局面だ。先手は角・桂・歩を駆使して攻めを続ける。

Dsc_0175 (公式戦29連勝は未知の数字。藤井四段はその領域に足を踏み入れるのか)