2013年10月の記事

2013年10月29日 (火)

第1局、第2局と同じ戦型の先後両方を持って森内名人が連勝。竜王位奪還へ向け大きく前進した。渡辺竜王は苦しい立ち上がり。次局以降の巻き返しに期待がかかる。第3局は11月7・8日(木・金)、福岡県筑紫野市「二日市温泉 大丸別荘」で行われる。

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■森内俊之名人
―― かなり際どい攻めを受けて立ちましたが、受けきれるという感じだったのでしょうか。
森内 先手玉の端歩が突いてなかったので、飛車交換になればと思っていたんですけれど。
―― 手応えをつかんだ局面は。
森内 △6九銀と打ったところで手応えを感じました。
―― 作戦についてですが、今回の急戦は予定の行動でしたか。
森内 そうですね、はい。
―― 2連勝という幸先のいいスタートになりましたが、次局以降に向けて。
森内 はい、がんばりたいと思います。

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■渡辺明竜王
―― 際どい攻防だったと思いますが、振り返られていかがでしたか。
渡辺 そうですね……△1四同飛をうっかりしてしまって。ちょっとお粗末でした。
―― ということは、飛車交換になって苦しくなったと。
渡辺 うーん……思っていたよりは攻めがあるかな、という感じでしたけど、でもやっぱり△3三銀があるので。
―― 序盤、中盤は作戦的にはいかがでしたか。
渡辺 一局の分かれだと思いますけどね。あんまり成功したという感じではなかったですかね。
―― 連敗スタートになりましたが。
渡辺 巻き返せるようにがんばりたいと思います。

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渡辺竜王が▲8四角と攻防手を出すと、森内名人は△7三香(図)で受けた。次に△7五歩で角の利きを遮る手があるため、先手は忙しい。1筋の竜の利きが厳しく、先手は受けが難しい状況だ。控室では中川八段と中座七段が継ぎ盤を挟んでいるが、後手側を持つ中座七段は苦しい表情を見せている。

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森内名人は銀取りを手抜いて△6九銀(図)と先手玉に迫った。大盤解説会では中川八段がはっとした顔になる。「銀を打ちましたか。……ということは、読み切ったんでしょうか。読み切ったんでしょうね」と中川八段。▲6四歩には攻め合いで勝てるという判断だ。

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渡辺竜王は▲6五歩(図)と打って銀に働きかけた。△5三銀は▲3五角が両取りになるので△7三銀が自然に見えるが、そこで再び先手に手番が来る。控室では銀を逃げずに△1八竜▲6四歩△6九銀(△4八竜は▲6六角でダメ)とガツガツ攻める順も調べられている。「これは意外と厳しい攻めでね」と中川八段はいう。

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森内名人は△1八飛(図)と攻防に利く位置に飛車を打った。攻め駒の少ない先手はどう攻めをつなげていくか難しいところ。大盤解説会では、森下九段が「△1八飛は森内名人が踏み込んだ一着ですね。渡辺竜王相手に安全勝ちはないと判断したのでしょう。先手の攻めは細いんですけど、渡辺竜王はこうした攻めをつなぐ展開は得意ですからね」と解説していた。

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(空が灰色の雲に覆われ、ぽつぽつと雨が降り出した)