2009年11月の記事

2009年11月26日 (木)

20091126_70_2 森内九段が苦心の手順で細い攻めを続けています。△3七銀は意表を突く勝負手で渡辺陣に迫っています。受けに回るなら▲6八玉ですが△4八銀左成と迫ってどうか。攻めあいなら▲4四桂または▲7四角が有力です。ただし▲4四桂は△同角▲同歩△7五桂など後手も攻めが切れなくなるので先手が危険だと思います。▲7四角は応手を聞いたのち後手の飛車を取りに行く感じですね。△4七銀の瞬間が少しと甘いのでここで先手が反撃に転じるのでは思います。
2日目入ってから少しずつ後手の攻めが細い状況は変わってません。現局面は先手よしと見てます。

20091126_70 15時30分、70手目△4七銀まで進んでいます。森内九段は残り40分ほど。モニターから「渡辺竜王、残り2時間30分です」と船江三段の声が聞こえました。控え室の報道陣やNHK衛星放送のスタッフは、検討するプロ棋士にしきりに形勢を尋ねますが、先手ノリの声が多いようです。

(桜木)

対局室の渡辺竜王が何かを見つめるようにしばらく後ろを向いていた。記録係の船江三段も同じ方向を見ていた。確認に対局室に入った観戦記担当の藤田麻衣子女流1級によると「虫がいたようで、壁にぶつかるような、かなり大きな音がしていました」とのことでした。

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(体をひねって後方を見る渡辺竜王。森内九段は席を外していた)

(桜木)

20091126_61 59手目の▲7三歩成が入ったのは大きかったと思います。▲7三歩成に対して△7七桂成には、▲8二と△7八成桂▲同飛と手順に飛車を回られ、▲7一飛成を狙われてしまいます。この展開は後手の歩切れが一番たたる展開でしょう。61手目▲6六歩では▲8六銀打も考えられました。62手目以降、△7七桂成▲同金△4五銀▲同歩△8五桂と攻めるのが有力だと思いますが、▲6七金と寄れば先手の飛車の利きが強く、先手が余していると思います。
形勢判断ですが、駒の損得は先手の歩得で、先手55対後手45とします。駒の働きは先手のと金が大きく、後手の角が壁角となっていることから、先手60対後手40とします。玉の安全度は先手の飛車の利きが大きいことと、後手の歩切れを考慮して、先手55対後手45とします。総合では、先手70対後手30だと思います。

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対局場の「水明館」では14時から大盤解説会がはじまっています。最初の解説者は立会人の桐山九段、聞き手は藤田綾女流初段です。

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(丁寧で分かりやすい解説。桐山九段)

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(衛星第2放送竜王戦中継の聞き手も務める藤田綾女流初段(左))

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(開場から多くのお客さんが詰めかけている)

(桜木)

20091126_59 午後の対局再開からバタバタと指し手が進みました。森内九段再度の△8五桂に、渡辺竜王は▲7三歩成と踏み込みました。モニターを見ていた控え室は「おお」と喚声が上がりました。△7七桂成には▲8二と△7八成桂▲同飛と取り合って、先手が指せるようです。

(桜木)