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(感想戦は40分ほどだった。両者一礼し、シリーズが終了した)
(退出する森内九段)
(渡辺竜王には対局室で改めてインタビューが行われた)
(様々な質問が飛ぶ。「ご家族は一局一局の勝敗では何も言わないと思いますが、防衛となったらどう出迎えられるのですか? 報告はどんな風に?」「私が竜王戦に出はじめたころからインターネットがありましたし、結果は知っていると思いますので特に報告はしないです。変わりませんよ」)
(「竜王戦はなぜ強いのですか?」「いや、えーと、一生懸命やっているからでしょうか? 2日制が特に向いているわけでもないと思いますし。注目される大きな舞台で、自分の力以上のものが出ています」)
(おやつのモンブランは最後まで手をつけられなかった)
(桜木)
【日浦市郎七段】本局は渡辺竜王の完勝でした。森内九段としては実力が発揮できずに終わってしまいました。この将棋で一番印象に残ったのは48手目△2二角(日浦図)でした。僕はこの手を指されるまでまったく気づきませんでした。一歩間違えば単なる壁駒になりかねないこの角打ちに森内九段としては本局の命運を懸けたのですが、結果的にはうまくいきませんでした。ただ、この角打ちに代わる手も難しい。△6五銀とぶつける手も考えられましたが、▲同銀△同歩▲7三角△8一飛▲7二銀△4一飛▲8四角成という手がある。もしかするとその局面で渡辺竜王の研究範囲だったかもしれないと思います。今期の竜王戦は全体を通して渡辺竜王の充実振りが目立ったシリーズでした。近いうちに竜王以外のタイトルも取るような気がします。
【佐藤和俊五段】
本局は渡辺竜王の快勝となりました。私が一番印象に残った手は49手目の▲9六香(佐藤図)です。指されてみればこの局面では普通の手ですが私は▲7四歩が第一感だったので非常に落ち着いた一手に感じました。 45手目の前例を離れた▲7五同歩も堂々とした手ですが、その後▲9六香、▲7四歩、▲7三歩成と指したい手を全部指して勝ってしまったという一局でとても強い勝ち方だと思います。森内九段にとっては力の出ない将棋になってしまいましたが、初日が終わったところでやや先手が厚いと私は見ていたのでひょっとしたら将棋の作り自体があまり良くなかったのかもしれません。このカードが4局で終わるのはちょっと信じられませんがそれだけに渡辺竜王の強さと充実ぶりが際立ったシリーズだったと思います。
【澤田真吾四段】私が印象に残った手は45手目の▲7五同歩(澤田図)です。前例では▲6六角と打ちましたし、実際私は▲6六角と打つのではないかと思っていました。この▲7五同歩は相手に有効な攻めがないのを見越した好手だったと思います。
一局を通してですが、42手目の△9五歩以降、森内九段の攻めは細く、渡辺竜王の方が若干良かったのではないかと思います。
(桜木)
【渡辺竜王の話】「難しい将棋だったと思うのですが、2日目に入って少し指せる気がしていました。と金を作って、▲7四角と反撃に転じたところは、攻める順番が回ってきたので良くなったと思います。今シリーズは全体的に納得のいく将棋が指せたので、それが良い結果に繋がったのかもしれません。竜王戦では実力以上のものが出せているかなと思います。いつもと変わらず特別な心構えはありませんでしたが…昨年のようなこともありますので、一生懸命指そうと思いました。竜王戦は毎年目標にしていますので、結果を出せたのは非常に嬉しいですね」
【森内九段の話】「途中から攻めさせられる格好になってしまって…本譜の攻めが無理だとすると、作戦的に良くなかったのかもしれません。シリーズを通して完敗でしたね。チャンスらしいチャンスも作れませんでした。内容的に見て、この結果も仕方ないかなと思っています」
83手目▲7一飛まで進んでいます。森内九段の持ち時間がどんどん減っていき、残り5分となりました。船江三段の秒読みの声がモニターから聞こえています。
(桜木)
森内九段が苦心の手順で細い攻めを続けています。△3七銀は意表を突く勝負手で渡辺陣に迫っています。受けに回るなら▲6八玉ですが△4八銀左成と迫ってどうか。攻めあいなら▲4四桂または▲7四角が有力です。ただし▲4四桂は△同角▲同歩△7五桂など後手も攻めが切れなくなるので先手が危険だと思います。▲7四角は応手を聞いたのち後手の飛車を取りに行く感じですね。△4七銀の瞬間が少しと甘いのでここで先手が反撃に転じるのでは思います。
2日目入ってから少しずつ後手の攻めが細い状況は変わってません。現局面は先手よしと見てます。
15時30分、70手目△4七銀まで進んでいます。森内九段は残り40分ほど。モニターから「渡辺竜王、残り2時間30分です」と船江三段の声が聞こえました。控え室の報道陣やNHK衛星放送のスタッフは、検討するプロ棋士にしきりに形勢を尋ねますが、先手ノリの声が多いようです。
(桜木)
59手目の▲7三歩成が入ったのは大きかったと思います。▲7三歩成に対して△7七桂成には、▲8二と△7八成桂▲同飛と手順に飛車を回られ、▲7一飛成を狙われてしまいます。この展開は後手の歩切れが一番たたる展開でしょう。61手目▲6六歩では▲8六銀打も考えられました。62手目以降、△7七桂成▲同金△4五銀▲同歩△8五桂と攻めるのが有力だと思いますが、▲6七金と寄れば先手の飛車の利きが強く、先手が余していると思います。
形勢判断ですが、駒の損得は先手の歩得で、先手55対後手45とします。駒の働きは先手のと金が大きく、後手の角が壁角となっていることから、先手60対後手40とします。玉の安全度は先手の飛車の利きが大きいことと、後手の歩切れを考慮して、先手55対後手45とします。総合では、先手70対後手30だと思います。
午後の対局再開からバタバタと指し手が進みました。森内九段再度の△8五桂に、渡辺竜王は▲7三歩成と踏み込みました。モニターを見ていた控え室は「おお」と喚声が上がりました。△7七桂成には▲8二と△7八成桂▲同飛と取り合って、先手が指せるようです。
(桜木)
渡辺竜王が▲7四歩と攻めを催促したのに対して、森内九段は△7七歩とたたきました。こうなれば後手としては攻め続けるよりありません。問題は▲7三歩成とされた時に飛車を捨ててでも攻め続けるのか、いったん飛車を逃げることになるのか。予想手順は▲7七同桂に△同桂成▲同銀△5六銀▲同歩△8五桂▲8六銀△9五香▲7三歩成。ここで△7七歩が利くか。▲8二とと飛車を取って△7八歩成▲同玉となっても、後手容易でないような気がします。持ち駒に歩がなくなると飛車の王手の時に△4一歩と打てなくなるのがつらいところです。また、▲7三歩成に△9二飛や△8一飛と逃げる手もありますが、どちらも▲7四角が厳しい手になりますし、いったん▲6八玉と上がれば先手玉もしばらくは安泰です。
この局面で森内九段が16分考えて2日目の昼食休憩に入りました。ここまでの持ち時間各8時間のうち、消費時間は渡辺竜王4時間22分、森内九段6時間35分です。昼食の注文は渡辺竜王が飛騨牛まぶし丼、森内九段がエビフライセットです。13時30分に再開されます。
53手目▲7七同桂まで進んでいます。「激しい流れになってきました。ひょっとしたら終局も早いかもしれません」と立会人の桐山九段。▲7四歩とじっと伸ばした手の評判がよく、控え室は渡辺竜王をもちたい、という声が多く聞かれています。
△2二角からの攻めは森内九段の苦心の構想ですね。▲7四歩(図)は指したかった手で大きな1手です。この後△5六銀▲同金△9九角成▲7三歩成△8一飛が予想されますが、この局面は7三のと金が私は大きく先手持ちです。▲5六同金に△7七歩からの攻めも歩の数が少ないので余されそう。現局面はやや先手が厚いと見ています。
封じ手予想の集計は以下の通りです。正解の△8五桂は1番人気でした。
△8五桂…14票
△6五銀…8票
△6五桂…2票
△6三金…2票
△6五歩…2票
△7二飛…1票
△8五歩…1票
△8三角…1票
△4五銀直1票
△9五香…1票
△9七歩…1票
(桜木)
森内九段の封じ手は△8五桂でした。2日目の戦いが始まりました。