2007年11月14日 (水)

感想戦のポイント

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渡辺竜王は出だしは苦しいと感じていたようです。72手目△4六角(図)と出たとき、佐藤二冠としては▲4七金と上がって△6四角▲8九飛の進行が勝っていたようです。本譜は▲4七銀引とダイヤモンド美濃に組みましたが△6四角▲7六飛に△2八角成が強烈な勝負手でした。△6四角で1回飛車を寄らせて△8四飛の走りを作ったのが好手順でした。

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図は96手目は△8五龍と引いた局面。ここで佐藤二冠は▲2六歩と受けた手を悔やんでいました。図では▲7四飛と走って飛車を使っておくべきだったようです。もしくは▲3九玉と引いて△7六香に▲7七歩の一歩を残すか、でした。本譜は▲2六歩△7六香▲同飛△同龍と進み、渡辺竜王は「飛車を取ってよくなったと思った」という感想を残しています。▲7六同飛ではまだ▲5九飛と辛抱するべきだったようです。

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最後は差がついたように見えましたが、125手目▲4九歩(図)が佐藤二冠の勝負手でした。△4九同桂成なら▲1三香成△同玉▲3三角!で一波乱あったかもしれません。時間いっぱい使った渡辺竜王の△1四歩が気づきにくい最後の決め手でした。前述の順を消しつつ、▲1四同香なら△2九金▲3七玉△1九角▲2七玉△2八角成▲1六玉△1五歩(この歩を打てるのが△1四歩の効果)▲同玉△2四金▲1六玉△1四金で後手の勝ちとなります。△4九歩を打たずに▲1三香成は△同玉▲3三角に△2九桂成があって成立しません。
秒読みの中▲4九歩に望みを懸けた佐藤二冠ですが、△1四歩の返し技があって功を奏しませんでした。

(桜木)