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第62期王座戦五番勝負第5局

2014年10月23日 (木)

控室の検討例

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図は20時前の局面。
この局面での控室の検討の一例を紹介します。予想された候補手は△2三歩と△5四飛の2通り。まず△2三歩から検討が行われました。
一番自然に進めた例は△2三歩▲5六歩△5四飛▲5五歩△同飛▲5六歩△5一飛▲1四歩△同歩▲1二歩△2四歩▲1一歩成△2五歩▲3七銀△3三桂▲1二と(参考1図)。この順はと金が大きく先手良しとされました。
次に後手の改良手順として▲5六歩に△同歩が検討されます。対して先手が▲2四角と飛車を取るのは△同歩(参考2図)が桂取りから銀取りに当たる幸便な手になるため後手良し。飛車を取る前に▲1四歩△同歩の突き捨てを入れておいたとしても、△2四同歩▲1二歩△同香▲1三歩に△2五歩が銀取りに当たるため後手良しです。

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そこで△5六同歩には先手も▲同金と応じます。以下△5四飛▲5五歩△5一飛に▲1四歩以下、参考1図と同じ手順に進んだのが参考3図。参考1図と比べると先手の陣形が上ずっていますが、検討陣はそれでも先手良しと判断しました。
参考3図までを踏まえて、後手側を持っていた戸辺六段が「では最後の手段を」と示したのが、▲5六同金に△3三桂とぶつける手。以下▲同桂成や▲2四角は先手が思わしくないとされ、継ぎ盤を挟んでいた香川女流王将は▲2八飛(参考4図)の辛抱を示しました。これで優劣不明とされて、いったん△2三歩以下の検討を終了しています。

832次に△5四飛の検討を行い、そこで後手が思わしくないようなら△2三歩に戻って、参考4図の先を検討するのが手順。しかし△5四飛の検討が煮詰まる前に、実戦の△5四飛が先に指されてしまいました。

このように、検討はひとつひとつ時間をかけて根気よく行われていますが、実戦の進行に現れることはそう多くありません。しかし△2三歩以下の順で検討された端攻めの筋は、本譜の△5四飛以下の進行でも指される可能性があり、検討したことが無駄になるわけではありません。

(八雲)

将棋会館の大盤解説会

東京のネット中継記者の銀杏です。五番勝負では第2局の棋譜中継を担当しました。
今日は将棋会館の大盤解説会にお邪魔しました。
18時30分開場、19時開始のスケジュールでしたが、18時前から列ができており、解説会開始のころには立ち見の方が多数いらっしゃいました。肌寒い一日ですが、会場は熱気に満ちています。
解説は渡辺明二冠(前王座)。聞き手は山口恵梨子女流初段。大盤操作は佐々木大地三段。

20141023_ooban1

20141023_ooban2_3

20141023_watanabe1(渡辺明二冠)

20141023_yamaguchi1(山口恵梨子女流初段)

20141023_watanabe220141023_yamaguchi2 (次の一手問題の景品)
(銀杏)

後手が決断の一手

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図は19時40分頃の局面。
△3八歩はと金作りを見せる自然な狙いですが、先手にもこの瞬間に▲5六歩(飛車取り)と動く手があるため、リスクが高く決断の一手と言えます。
検討の一例は▲5六歩△5四飛▲5五歩△同飛▲5六歩△5一飛に▲3五銀。最後の▲3五銀では▲3八飛と歩を払う手も無難で、それならほぼ互角と見られています。▲3五銀は、互角以上に良くしようという手で、それだけ先手が有望と見られているということです。

「夕休時点では後手が指しやすいように見えたのですが、現局面はもう難しい。むしろ先手が指せそうなぐらいです」(控室の戸辺六段・永瀬六段)

Img_764419時20分頃控室に来訪した戸辺誠六段。

(八雲)

19時30分頃の関西大盤解説会

Photo_14(19時30分頃の関西大盤解説会。既に立錐の余地もなくなっていた)

Photo_16(解説は斎藤五段と室田女流二段のコンビとなっていた)

Photo_17(その頃、棋士室で休憩中の糸谷七段。お菓子に手をつけていた)

※関西将棋会館では、このあと大盤解説会の第2解説会場を2階道場に増設するようです。

(潤)

 

中盤の入り口

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19時過ぎの控室の様子。

「局面はまだ中盤。それも入り口といってもいいかもしれません。本シリーズで一番のスローペースになりましたね」(遠山五段)

Img_7641夕食休憩中に来訪した上野裕和五段も検討中。

(八雲)

関西大盤解説会 休憩中

19時になり、関西将棋会館の大盤解説会では次の一手が出され休憩に入りました。その際、御来場のお客様から棋士室に、差し入れが届けられました。

Photo_11(ファンの方から差し入れられたバームクーヘン)

Photo_12(室田女流二段がお菓子を手に。左手に持っているのは糸谷七段のハワイ土産であるクッキー)

Photo_13(「いただきまーす」とバームクーヘンをぱくり)

(潤)

夕食休憩中の対局室

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夕食休憩時の盤面。本格的な戦いはまだ始まっていない。

Img_7630羽生王座側より。

Img_7629豊島七段側より。

Img_7626対局室(65F)の窓からの眺め。

対局はまもなく再開します。

(八雲)

関西大盤解説会(2)

Photo_7糸谷七段「豊島君は2連敗したときは駄目かと思いましたけど、よくここまで立て直してきました。特に第4局の先手中飛車は意表でしたし、会心譜でした」

Photo_9斎藤五段「確かに第4局の中飛車は驚きましたね。豊島さんの振り飛車は練習将棋でもほとんど見たことがなかったですし。失敗したらと考えてしまうところですが、それを会心譜で凌いだのもまたすごかったです。その意味では本局の戦型で何を指されるのかがまずは注目でした」

Photo_10(両解説者を観客席から携帯で撮影する室田伊緒女流二段)

(潤)

関西大盤解説会

18時になり、関西将棋会館では大盤解説会が始まりました。

3(解説者紹介。室田女流二段、斎藤五段、糸谷七段)

Photo_5(既に沢山のファンの方が大盤解説会に詰め掛けていた)

Photo_6(まずは糸谷七段と斎藤五段によって解説会が始められた)

(潤)

夕食休憩に入る

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図の局面で豊島七段が24分使って夕食休憩に入りました。消費時間は▲羽生3時間40分、△豊島3時間44分(持ち時間、各5時間)。夕食は、羽生王座が「ちらし寿司」と「リンゴジュース」、豊島七段が「おにぎりセット」と「グレープフルーツジュース」。対局は19時に再開します。

Img_7619ちらし寿司。

Img_7617おにぎりセット。

写真は撮影用に別途注文したものです。

(八雲)

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