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控え室では▲6六歩△5七銀▲6五歩で後手の攻めを呼び込むものの、まだまだと思われていた。しかし山崎の指し手は▲7八玉。この玉立ちに控え室はどよめいた。
「▲6六歩が控え室の研究の中心でした。将来、▲5五角と出る手がいい味と見られていたからです。▲7八玉は角の睨みを避けて粘りに出ました。これに対して△6四銀(△7五銀~△8六歩の狙い)が好手なのですが、その後▲7四歩と銀の土台をはずす手があり、まだまだ、はっきりとした結論は出ていません」。(飯塚六段)(吟)
飯塚六段の見解
「形勢はハッキリ中川七段が良いでしょう。図の△2五歩で全軍躍動の形です。左右の桂と角を活用できるメドがついたのが大きなポイントです。駒をぶつけずに局面のリードに成功しました。見事な構想力です。山崎七段の勝負手に注目です」。
(吟)
19時になり、夕食休憩が終わり、対局が再開された。再開後すぐに山崎の手が伸びて▲5六銀右が着手された。
羽生王座との対談本も好評な柳瀬尚紀氏が控え室を来訪。飯塚六段と初手から並べ直し、検討を行う。
図の△7三桂で夕食休憩に入った。消費時間は山崎七段が3時間34分、中川七段は3時間18分。
夕食の注文は中川七段がカレー
山崎七段は玉子とじうどんを注文
17時までの飯塚六段の見解
「第5図までは明らかに中川七段が押していました。控え室では△6五同銀が有力視されていました。次の△5三銀引は意外な一着です。また山崎さんの駒が▲5六銀と伸びてきそうです。形勢は混沌としています」。
控え室には関西若手棋士の面々が。村田顕弘四段、稲葉陽四段、西川和宏四段、大石直嗣四段らが登場。東西サッカー部のフットサル対抗戦がメインだそうで、同じ関西所属の山崎七段の対局が気になった?
第4図の△5四金では、△4六歩▲同銀△5六歩でも一歩得で後手が指し易いとの評判であったが、△5四金と力強く4段目に金を進出させたのが中川七段らしい一着。
第4図までの消費時間は山崎七段が2時間15分、中川七段が1時間55分。記者が棋譜を取りに対局室に入室すると、山崎七段はなにやら呟きながら考えていた。中川七段は席をはずしていたが、紙コップの飲み物を手に対局室へ入室。
15時の局面での飯塚六段の見解
▲5六歩に対する△4五歩が強烈な勝負手ですね。お互いに不安定な中で戦いを起こそうとしています。しばらくは中央での押し合いになると思います。▲6八銀は、そういう意味では軟らかい手です。このあたりが中盤の勝負所で、優劣が決まると思います。後手の角と桂の働きに注目です。さきほどまでは、後手の作戦負けかと感じていたのですが、現在はいい勝負ですね。