第63期王将戦七番勝負第2局 Feed

2014年1月24日 (金)

76

渡辺王将が攻める流れが続いている。羽生三冠は9筋で歩を連打して香を取ったが、△7六歩(図)も厳しいお返しだ。後手陣はほぼ手つかずなので、先手の反撃を受けにくい。壁銀の悪形をカバーしながら進めたいところだ。対する先手はなんとかして攻めをしのぎ、後手玉を目指す余裕を得たいところ。検討陣の見解は後手ペース。

15時、おやつが対局室に運ばれた。渡辺王将は1日目と同じくチョコレートケーキ、フレッシュオレンジジュース。羽生三冠は和菓子(「初雪」と「白梅」)、抹茶。対局者にとってはこれが最後の栄養補給だ。

Img_3592

Img_3595

午後になり、大盤解説会の来場者が徐々に増えてきている。解説の佐藤秀七段は「渡辺王将はやれると思っているのでは」と話していた。

Img_3585

Img_3587

63

「ここは渡辺王将も考えそうですよ」と佐藤秀七段。14時20分過ぎ、▲7四歩(図)の局面で次の一手が出題された。候補は△7六歩、△2四歩、その他の3択。景品には記念扇子、対局者の直筆色紙が用意されている。

58

対局再開から10分、渡辺王将が△9五歩(図)を着手。端から仕掛けていった。先手の9筋は桂を跳ねたことで弱くなっている。▲同歩には△6五歩と突かれる手が気になる、と佐藤義八段と佐藤秀七段。以下▲5五銀に△同銀も△7五歩もありそう、とのこと。端の突き捨てが入ると、銀が手に入ったときにいつでも△9八歩▲同香△8九銀の攻め筋がある。突き捨てを利かされと見れば、端を手抜いて別の場所で主張する可能性もありそうだが、△9六歩の取り込みも大きな手だ。羽生三冠はこの手を見てはたはたと扇子であおいでいる。

Img_3582001

13時30分ごろ、羽生三冠が対局室に戻ってきた。下座に着き、眼鏡を外して丁寧に拭く。やがて佐藤義八段が「対局を再開します」と告げた。ほどなく渡辺王将が対局室に。口元をキッと引き締めて盤に向かった。羽生三冠は湯のみのお茶を一口、また一口と飲み息をつく。一瞬、眉根を寄せて厳しい表情になると、口元に手を当てて盤面に視線を注いだ。

Img_3563

Img_3567

Img_3573

Img_3576

Img_3577001

Img_3579

Img_3578

Img_3580001

57

12時30分、昼食休憩に入った。昼食の注文は渡辺王将がつけとろろそば、羽生三冠がミックスサンド、ホットコーヒー。つけとろろそばはメニューにはないが、昨夜の夕食で出たものに渡辺王将が目をつけて頼んだそうだ。対局は13時30分に再開される。

Img_3554001

Img_3543

Img_3556

Img_3557

Img_3558

Img_3560

ホテルロビーでは記念扇子が販売されている。前夜祭の色紙には渡辺王将が「快戦」、羽生三冠が「洗心」と揮毫していた。渡辺王将は強敵との対局に全力を尽くし、羽生三冠は第1局の敗戦を洗い流して本局に臨む。

Img_3542

Img_3423

Img_3435001

Img_3033

52

先手は玉側に金銀を集め、厚みのある陣形を作り上げた。対する後手は低い陣形から攻めをうかがっている。駒組みが続き、2日がかりの長い序盤戦が続く。
「後手はもうちょっと堅く囲うんじゃないでしょうか」と話すのは佐藤秀七段。駒組みが続けば、「後手のほうが価値の高い手が多い」と話す。その差になっているのが7七の桂。先手はこの守りの桂を跳ねているために玉の囲い方が難しい(端が薄いので、▲7九玉と囲っても危険地帯に近づく意味がある)。一方、後手は△3三銀~△3一玉と自然に玉を固めていける。5四の銀は△4四歩~△4三銀と引きつけて守りに使うことも、△6三銀と引いてバランスを取ることもできる。先手は現状の厚みをどう生かすか、方針を問われる局面といえそうだ。
11時10分、羽生三冠は席を立っている。対局室では渡辺王将がひとり盤に向かっている。

Img_3536