2015年2月

2015年2月17日 (火)

Img_3704本局の棋譜。

第64期王将戦七番勝負第4局の中継は以上で終了いたします。ご観戦誠にありがとうございました。

第5局は3月12・13日(木・金)、新潟県佐渡市「両津港海鮮横丁・きん亭」で行われます。

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スポーツニッポンの勝者写真撮影の記事はこちら

終局後、両対局者は大勢のファンが待つ大盤解説会場に向かいました。

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Img_3576両者が意見をかわす感想戦のようなやりとりがあって、ファンは大喜び。

Img_3582郷田九段の口調は弾んでいた。

Img_3598渡辺王将は普段通りの雰囲気で。

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Img_3508終局直後、両者にインタビューが行われた。

【郷田九段インタビュー】

――対振り飛車となりましたが、1日目の進行は途中長考もありましたが、どのように感じていたでしょうか。
「ちょっとよくわからなかったですね。こっちが苦しいのかな、と思ったりもしましたし、ずっとよくわからなかったです」

――封じ手以降ですが、竜を作って受けに回るような感じになったのでしょうか。
「ああ、そうですね。わからなかったですが、長引けば少し分があるのかなと……。ただ、具体的にどう指せばいいのかは分からなかったです」

――(2日目)昼食休憩再開後は▲4七角(61手目)と打ちましたが、あのあたりはいかがでしたか。
「いやあ、ちょっと分からなかったですね。本譜で角を取られてしまうので……」

――その後、千日手にできる局面もありましたが。
「ああ、それは考えてなかったです。本譜でも大変な将棋だと思ったので」

――優勢を意識したのはどのあたりでしょうか。
「最後のほうは有利だと思ったのですが、決め手がわからなくて。最後までちょっと分かっていなかったです。寄せもちょっと不正確だったかもしれないですね」

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【渡辺王将インタビュー】
――振り飛車は作戦だったのですか。
「ああ、そうですね。はい」

――1日目の進行はある程度予定通りだったのでしょうか。
「分からなかったですが、動いて行ってみてどうかなと。前例通りの展開なら持久戦にするつもりだったのですが、(31手目などで)▲3六歩を省略される展開だったので――うーん……ちょっと組み合うとまずいかなと思って動いてみました」

――今日の午前中に角を切って、飛車を成り込んでという激しい展開に踏み込まれましたが、あの辺は自信があったのですか。
「いや、あそこは、他に手がないので……何かうまい受けがあったらすぐにダメになると思っていました。ちょっと竜を引かれてからは、こちらがあまり選択肢がない将棋になってしまいました」

――では、千日手の変化があった局面は望んでいた?
「そうですね。それなら(千日手になるなら)大歓迎だと思いました」

――そこからは、ちょっと足りない感じでしょうか。
「そうですね、何か一瞬ちょっと分からなくなった局面はあったような気がしましたが、少し進むと全然ダメになってしまいました」

――悪くなったのはどのあたりと考えていますか。
「封じ手から▲2三歩(45手目)と合わせられてからはちょっと――昨日の夜も考えたのですが――あまりいい変化がない気がしました」

――5局目以降については。
「あらためて三番勝負の形になったので、気を取り直して頑張りたいと思います」

95図は18時15分過ぎの局面。先手はと金で後手の金を1枚削り、手厚く▲7五金と打ちました。控室の評判は先手良し。郷田九段が着実に差を広げているとみられています。

Img_3502浦和ロイヤルパインズホテル14階からの夜景。
戦いは夜戦に入ったが、そろそろ終局が近いようだ。

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図は17時40分過ぎの局面。検討陣はここで▲7九金を推奨しています。その形が非常に堅く、後手から思わしい攻めが見つかっていません。検討陣は先手優勢と見ています。なお▲7九金は和田女流初段が継ぎ盤でビシッと指しました。対して黒沢四段ら鋭い攻めを誇る若手陣が攻めあぐんだため、先手優勢の結論が出されたとのことです。

17時48分追記。
図から郷田九段は控室で推奨されていた▲7九金を着手。「1手で先手陣が見違えるように引き締まりました」と阿久津八段。

Img_349616時40分過ぎの現地大盤解説会は、金井五段(左)とゲスト参加の大野七段(右)のコンビ。

Img_3488まだ▲3八金を打って千日手になる可能性が言及されていた。

Img_3485控室には和田あき女流初段(埼玉県和光市在住)が来訪。和田女流初段は現在マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦まで勝ち上がっており、女流若手の最注目株だ。かつては大野七段の将棋教室に通って腕を磨いていたという。

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図は16時50分頃の局面。郷田九段が▲3一歩成として「これで千日手の可能性はかなり少なくなった」と言われています。

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15時48分、郷田九段が右手をゆっくりと動かして歩を手に取り3二に打ちました。千日手を回避し攻めに出ています。勝負は決着に向けて動き出しました。控室では「来た来た」、「打開した」の声が上がりました。
△3二歩までの消費時間は▲郷田7時間3分、△渡辺6時間10分。

Img_3471右は黒沢怜生四段、左は奨励会員の高野智史三段(木村一基八段門下)。

Img_3479中井広恵女流六段(右)も来訪している。中井女流六段は先日女流公式戦通算600勝(史上初)を達成した。隣の植山七段とは夫婦だ。

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図は15時20分の局面。ここで▲3八金と打つと、竜の逃げ場所は4九だけ。そこで▲4八金右なら△3九竜と逃げるしかなく、千日手模様です。選択権があるのは先手の郷田九段。打開するなら▲3二歩が最有力と予想されています。金を持つか、歩を持つか。関係者がモニターに注目しています。

Img_348115時30分頃の控室。
「見ている分には『▲3二歩で勝負』と言いたいですが、自分が指していたら金を打っちゃうかもしれないなあ」と大野七段。