図では▲５四飛成が予想されていました。実戦は▲４三歩成です。△同角で後手の角に逃げられますが、６二馬の利きが１筋まで利いてきます。このことから▲４三歩成は寄せを目指した先手の勝負手と推測されますが、控室の検討では後手玉が寄る順は見つかっていません。

図では△６七金が予想されていました。以下▲５八金は△７八桂成から迫ることができます。しかし実戦はじっと△５九飛成。これには現地検討陣も杉本七段も驚いていました。△６七歩の狙いはありますが、先手に上部開拓の時間を与えるおそれがあります。「19時までに終わることはないでしょう」と現地検討陣。

図で△５八飛が厳しく、現地控室は「後手よし」の見解です。杉本七段も２手前のツイッター解説で後手優勢としていました。ただし「すぐには決まらないかもしれません」と深浦九段。一例として△５八飛に▲６八銀△６七歩▲７七玉で上部脱出を狙う順を示しています。後手の９五香が浮いているので、先手は入玉の可能性があります。

（深浦九段は見解を伝えた後、解説会で景品抽選に参加。忙しい）

（牛蒡）

羽生王位は５四桂を６六に跳ねました。△６六歩では間に合わないとみて、スピードアップを図った手です。（１）▲６六同銀△同金▲４三歩成は△５六角の味がいいので、（２）▲７九金△５四角が実戦の進行です。最後の△５四角は攻防の一手。互いに盤全体を使って戦っています。
ちなみに控室では△５四角ではなく△５八歩成▲４三歩成△５七角▲６八銀打△同とが検討されていました。先手玉はその瞬間に相当詰みにくい形になりますが、後手玉も▲３三と△同金▲４一飛成が詰めろになりません。この順も難しそうでした。

（牛蒡）

先ほどの次の一手クイズの正解は▲２三同歩成でした。以下△同金▲２四歩で図の局面。後手玉は７七角ににらまれているので、▲２四歩に（１）△同金▲同飛△同銀とは取れません。▲２四歩に（２）△同金▲同飛△２三歩も▲３一銀で寄せられそう。したがって（３）△７七と▲同銀△２四銀が予想手順。▲７七同銀で先手は桂損になりますが、自玉は堅くなります。局面は少し落ち着くかもしれません。

（牛蒡）

現地では図の局面で「次の一手クイズ」が出され、解説会は休憩に入りました。畠山鎮七段の候補手は（１）▲２三同歩成、鈴木女流二段は（２）▲３一銀、下平さんは（３）▲９六歩、そして（４）その他です。解説陣は控室に戻ってくるなり、「全然わからない」「難しい」と口々に話していました。形勢はもとより、図の局面で先手がなにを指すのかも難しいようです。

 （羽生王位。16時29分の静止画像）

（木村八段。同じく16時29分の映像）

（牛蒡）