2020年8月20日 (木)

記者会見

感想戦終了後、藤井聡太新王位は場所を西鉄グランドホテルに移し、記者会見に臨みました。

藤井聡太新王位

記者会見

── 王位獲得おめでとうございます。今回の七番勝負を振り返ってください。

藤井 持ち時間が8時間の2日制は、今回の王位戦が初めてでしたが、その中で一手一手、自分なりにしっかり考えて指せたかなとは思います。一方で、木村先生に、こちらが気づいていない好手を指される場面も多かったので、その辺りに課題を感じた部分もありました。

── 戦型の選択などについては、どのように考えて臨まれましたか?

藤井 戦型については、なるべく番勝負ですので、いろいろな戦型で指せれば、と思っていました。

── 木村王位の印象について聞かせてください。

藤井 こちらは(2日制のタイトル戦が)初めてで分からないとこも多かったのですが、その中で木村先生の立ち振る舞いでも勉強になるところが多かったので、今後に生かしていきたいと思います。

── 第61期王位戦は昨年9月から始まり、全勝で駆け抜けて王位奪取しました。予選を含めて何か深い思い入れがあれば教えてください。

藤井 これまで王位戦は予選で敗退していたので、今期は挑戦者決定リーグに入ることをひとつの目標にしていました。挑戦者決定リーグでは羽生(善治九段)先生との対戦があり、挑戦者決定戦では永瀬(拓矢)二冠とも対戦することができて、いろいろといい経験をすることができたと感じています。

── 今期の夏は棋聖戦と王位戦、ふたつのタイトル戦を並行して戦うことになりました。藤井王位にとって2020年はどういった夏でしたか?

藤井 今年はふたつのタイトル戦の番勝負に出ることができ、自分にとって初めてのことが多かったですが、その中でも盤上、盤外どちらも非常に得難い経験ができたかなと感じています。

記者会見

── プロデビュー以降、高い勝率を保っておられますが、特に今年の活躍は目を見張るものがあったと思います。その要因はご自身でどのように分析していますか?

藤井 今年は新型コロナウイルスの影響で、2ヵ月弱、対局がない期間もありました。その中で普段以上にじっくりと将棋に取り組めた面もありますし、対局が再開して渡辺(明名人)先生、永瀬先生、木村先生といったトップ棋士の方々と多く対戦することができたのは、成長の糧になっているのかなと思います。

── 以前、ご自身で「ピークは25歳前後」とおっしゃられていましたが、二冠を取ったいま、どのような25歳の未来を描いていますか?

藤井 強くなるという目標は、どこまでいっても変わらないと思っていますし、今回の七番勝負でも非常に勉強になる部分があったので、そういったことも成長につなげていきたいと思います。

── 今回、史上最年少二冠と史上最年少八段を獲得され、改めて心境をお願いします。

藤井 これまでタイトル戦の番勝負自体、経験がなかったので「二冠」になかなか実感がわいてこないですが、そういった立場になり、より一層精進して、いい将棋をお見せできるように頑張っていきたいと思います。

── 先ほど終局直後に「4連勝は望外の結果」との言葉がありました。以前、藤井王位が「望外」という言葉を使ったのは、当時中学生、デビュー11連勝目の感想戦でした。この3年間でご自身の成長について感じる部分はありますか?

藤井 棋士になってから、公式戦でトップ棋士の先生に教えていただく機会が増え、その中で少しずつ成長してこれたかなとは思います。

── 王位戦の歴史の中で、予選から無敗で頂点に立ったのは初めてです。

藤井 今期の王位戦は苦しい将棋も多かったので、全勝という結果は、自分の実力以上のものが出せたのかなと思います。

── 昨日の封じ手の局面では、36分という長い考慮で次の一手を封じられました。

藤井 第4局の封じ手の局面は、ひとつの分岐点と言える場面だったので、あの局面になれば封じようとは思っていましたが、(△8七同飛成と△2六飛)どちらがいいのかを改めて考えていました。

── 今回は棋聖戦と王位戦、ふたつのタイトル戦と同時に戦うことになりました。

藤井 今回、棋聖戦は渡辺明先生、王位戦は木村先生ということで、棋風の違うおふたりとの対戦でしたが、そのぶん一局ごとに新しい発見があった気がします。

── 師匠の杉本昌隆八段の段位に追いつきました。その感想を。

藤井 そのことは自分では気づいていなかったですが、師匠とは順位戦、竜王戦で同じクラスにいるので、お互い高めあっていければいいかなと思っています。

記者会見

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