2010年7月27日 (火)

阿部健治郎四段の「棋譜解説チャット」

今回の対局は、チャットを使っての解説が行われている。解説を担当するのは阿部健治郎四段。 阿部四段に本局の戦型予想を依頼すると、次のような答えが返ってきた。

「戦型ですが、予想というより100%居飛車対四間飛車穴熊になると思います。第一局に見られた挑戦者の得意戦法です。王位が相穴熊を受けて立つかは微妙です。今回は王位が先手なので舟囲いから急戦する手もありそうです。先手の一手を生かして穴熊が未完成のうちにポイントを稼ぐ指し方です」

広瀬六段については100パーセント!「四間飛車穴熊」と力強く断言。対する深浦王位は、先手番の利を生かして素早い動きを見せ、序盤からリードを狙うかもしれない、と予想した。そして、その予想は見事的中することになる。
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図は17手目、深浦王位が6六に角を飛び出した局面。ゆっくりとした展開にしたいのであれば、角は7七に上がって玉を左へと囲うのが相場。6六の地点は敵の駒に近い分反動もあるが、非常に積極的な狙いを秘めている。阿部四段曰く、「▲6六角は序盤の勝負手です。ミレニアム(トーチカ)や地下鉄飛車からのスズメ刺しが狙いです」。 最も尖った狙いはその「地下鉄飛車」で、下図の構えがそれだ。

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見てわかるとおり、後手の穴熊に集中砲火を加える陣形である。攻めが成功すれば、穴熊の堅陣といえど信じられないほどあっけなく崩壊する。それほどの破壊力を秘めた戦法だ。ただし柔軟性に乏しく、失敗したときのリカバリが難しい。こう進むとは限らないが、いずれにせよ深浦王位が「積極的に動いていこう」という姿勢であることは間違いないだろう。

(文)