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2017年4月25日 (火)

決勝トーナメントの足跡(2)

続いて斎藤七段の将棋を振り返ります。棋聖戦成績は15勝4敗(勝率0.789)で、今期は二次予選からの出場で井上慶太九段、金井恒太六段、北浜健介八段を破って、決勝トーナメントに進出しました。

トーナメント表


◆1回戦:森内俊之九段戦(2017年3月28日)

▲5三桂

森内九段の矢倉に対し、斎藤七段は得意の「左美濃急戦」で挑みますが、鉄板流の巧みな受けの前に苦戦に陥ります。ところが第1図の森内九段が打った▲5三桂が大錯覚。代えて▲4六飛なら先手優勢とのことでした。本譜は△5三同角▲4五桂△4四角と進んで一気に形勢が逆転。最後は4四にかわした角が寄せに働き、斎藤七段が2回戦に進出しました。


◆2回戦:木村一基八段戦(2017年4月7日)

▲7八同玉

木村八段との将棋は横歩取りでした。端桂を跳ねて積極的に動こうとする斎藤七段に対し、木村八段は角道を止め、緩やかな流れに持ち込みます。中盤以降は互いの歩の手筋が乱れ飛び、難解な形勢のまま終盤戦にもつれ込みます。最終盤の第2図。ここで△9八飛成▲6七玉△8九角なら後手勝ちでしたが、実戦は△8九角▲6九玉△7八歩だったため、▲6七桂が次の▲5五桂の王手を見た絶好の一手になりました。


◆準決勝:郷田真隆九段戦(2017年4月18日)

▲6四玉

郷田九段との将棋は角換わり腰掛け銀の先後同型(▲9五歩△1五歩型)。先手の斎藤七段が先攻し、この戦型特有の激しい攻め合いへと進展します。途中、斎藤七段に指しすぎの一手が出て流れは後手に傾きますが、そこから粘り強い受けを見せて大激戦に。最後は両者一分将棋の中、161手で斎藤七段が逃げきり、挑戦者決定戦に駒を進めました(第3図は投了図)。

斎藤七段

(夏芽)

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