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2017年4月25日 (火)

決勝トーナメントの足跡(1)

両対局者の準決勝までの将棋を振り返ります。

糸谷八段の棋聖戦成績は22勝10敗(勝率0.688)。前期ベスト4によるシードで、今期は決勝トーナメントからの出場でした。

トーナメント表


◆1回戦:松尾歩八段戦(2017年3月22日)

▲7五歩

松尾八段との将棋は相掛かり。先手の2八飛型に対し、後手の糸谷八段は飛車の活用で歩得を果たします。作戦勝ちからペースをつかみ、迎えた第1図。ここで△3一歩▲7四歩△8四角とあっさり銀を取らせたのが好判断でした。次に△6八銀と打ち込む攻めがあり、さらには6六の銀も質駒で先手は受けが難しくなっています。実戦は△8四角に▲7五銀打△6八銀▲同金△同歩成▲同玉△3八竜と進んで、糸谷八段が寄せきりました。


◆2回戦:広瀬章人八段戦(2017年4月4日)

▲3七歩

広瀬八段との将棋は相矢倉の出だしから、後手の糸谷八段が腰掛け銀に構えて急戦調の展開に持ち込みます。互いに強気の攻め合いが続く中、勝負の明暗を分けたのは第2図。本譜、糸谷八段は△2七銀不成とタダの場所に銀を捨て、以下▲同飛△6八銀▲5五金△7七銀成▲同桂△7九角打と進んで流れを引き寄せました。途中、先手の▲5五金が危険な一手で、代えて▲6七金と引けば難しかったようです。


◆準決勝:佐藤康光九段戦(2017年4月19日)

△7六角

佐藤康九段(永世棋聖)との将棋は角換わりで、早い段階で▲3七桂~▲4五桂と仕掛けていきました。過去の自身の前例をなぞる展開で、序盤から一貫した早指しでペースをつかみます。第3図から▲2四歩△1二銀▲2三金△2二歩▲1二金△同香と進み、そこでさらに▲2三銀を打ち込んだのが強手。以下△同歩▲同歩成△同金▲同飛成と竜を作ることに成功し、そのまま押し切りました。本局、糸谷八段のトータル消費時間は「59分」でした。

糸谷八段

(夏芽)

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