カテゴリ

« 2014年6月 | メイン | 2015年4月 »

2014年7月

2014年7月 5日 (土)

第85期棋聖戦閉幕

第85期棋聖戦は羽生善治棋聖の防衛で幕を閉じました。
羽生棋聖の棋聖獲得は通算13期、連続7期です。

V003

V005

T138 (感想戦終了後、各社からインタビューを受ける羽生棋聖)

――棋聖7連覇について。

大山先生の記録は大変なものばかりです。一つでも並べてよかったです。(来期は8連覇がかかるが)先のことですが、そのときまでに充実した状態にできれば。

――今年度は11連勝中ですが。

そういうことを意識せず、次の対局に臨めればと思っています。

――これから王位戦が始まります。

王位戦がすぐに始まるので対局に集中していくことになると思います。

――棋聖戦と王位戦では、1日制と2日制で環境が変わりますが。

自分の持ち時間でも倍違うのでゆっくり指すことを心がけることになります。それはよくあることで、切り替えはスムーズにできます。

――10代から対局を続けていて、そのときどきで表現したいことが変わっていると思いますが。

そうですね。それは自分が年代によって変わることもありますし、そのときどきで将棋自体が変わっていることもあります。そうやって変わっていく中でスタイルや個性を確立できればいいと思っています。いまある流行や課題に対して、どのように個性を出していくかを考えています。

(牛蒡)

感想戦

T050

T007

T013

T043

T021

T058 (感想戦終了後、駒を片付ける羽生棋聖)

(牛蒡)

終局直後

T024_2 (7連覇達成、羽生善治棋聖)

■羽生棋聖インタビュー

――横歩取りは予定だったのでしょうか。

横歩取りになるかと思っていた。横歩取りをもう1回やってみてどうなるかと思っていた。最近指したのと同じ進行になったが、途中で変わってから難しかったです。
▲7七銀(45手目)と強く上がられて、違う手も分からず思い切ってやってみた。駒得なのでいいのかと思ったが、ごちゃごちゃしたところで本当はどうだったか分かりません。
途中はまずいと思った。▲4六歩(107手目)と角取りを催促されたところは自信がなかった。終盤はずっと遊んでいた1九竜が使える形になって初めて良くなったと思った。

――シリーズ振り返っていかがですか。7連覇で大山十五世名人の記録にならびました。

一局ずつ難しい将棋だった。良かったと思います。記録は終わったばかりでよくわかりません。どちらも際どい将棋だった。

――今期は負けしらずですが。

いい形が続いていると思っています。

T033 (敗れた森内俊之竜王。追い上げたが届かなかった)

■森内竜王インタビュー

――45手目▲7七銀は用意の一手だったでしょうか。

考えてはいました。迷って指したのですが。

――本局を振り返っていかがですか。

▲7九歩(55手目)が問題だったかもしれません。しかし正しい応接がわかりませんでした。

――シリーズを振り返っていかがでしたでしょうか。

急所の場面でミスがあったので、この結果も仕方がないです。

T006 (終局直後の対局室)

(牛蒡)

投了の瞬間

T004 (19時33分、モニター映像)

(牛蒡)

羽生棋聖が3連勝で防衛

Kisei201407050101_152

羽生善治棋聖に森内俊之竜王が挑戦する第85期棋聖戦五番勝負第3局(産経新聞社主催)は19時33分、152手で羽生棋聖の勝ちとなりました。消費時間は▲森内3時間59分、△羽生3時間58分。
この結果、3連勝で羽生棋聖がタイトル防衛。棋聖7連覇で連覇記録は大山康晴十五世名人に並び歴代1位です。棋聖獲得は通算13期、タイトル獲得数は計88期となりました。
(銀杏)


一歩千金

129図で△5七歩が痛打。文字どおりの一歩千金で後手勝勢になりました。「なんで△5七歩なんてぴったりした手が残っているんだろう。普通は残っていないものなんだよ」と木村八段。

(牛蒡)

予定変更

107s図の局面で羽生棋聖が長考しています。△3四角は▲3五香にどう指すか。以下△2五角は詰めろですが、▲3三香成から▲4七桂と受けられると、つぎに△2三馬が詰めろで攻めの速度が逆転します。

羽生棋聖は残り5分まで考えて△6五桂▲4五歩△5七桂不成▲6八玉△3二金としました。角を見捨てて自陣に金を打つ。これが後手の予定だったとは思えません。「さすがに予定変更でしょう。長い将棋になります」と木村八段。「局面が最終盤から終盤の入口に戻った」と村山七段。ただ、形勢は後手がまだ残しているようです。「崩れないねえ」と石田九段。

(牛蒡)

最終盤の攻防

93先手が3筋に猛攻を仕掛けています。この攻めが届くのか。それとも後手が余しているのか。木村八段は△3二香▲3三香成△同香▲2二角成△5四歩で後手が余していると話しています。一方、石田九段は先手が盛り返したと力説しています。「いや、難しくなったよ。こうなる将棋ではなかったはず」と石田九段。羽生棋聖は図の局面で時間を使っています。

S025

S012 (継ぎ盤の前には香川女流王将)

S027 (反対側にはアマ強豪の林隆弘さん)

林さんは日本将棋連盟沼津支部の支部会員。将棋ウォーズを開発・運営するHEROZ株式会社の取締役としても有名です。

(牛蒡)

後手が差を広げる

79図で羽生棋聖が指した△5七香不成で、いよいよ後手優勢がはっきりしました。△5七香成では詰めろになりませんが、△5七香不成なら詰めろです。▲5七同金は△2二銀から竜の捕獲を狙います。▲6四桂には△4二玉と逃げれば大丈夫です。継ぎ盤を▲5七同金△2二銀まで進めて「先手に手がない」と検討陣。控室が少し静かになった気がします。

(牛蒡)

2枚目の手裏剣

702枚目の手裏剣、△8七歩が飛んできました。▲8七同金は△3九飛~△2九飛成~△7五桂、▲7八金も壁形になるので△3九飛が厳しそうです。仮に▲7八金△3九飛▲6八玉は△2九飛成から△8八歩成▲同金△7六桂もあります。なお、△8七歩に代えて△6七角成は▲6三歩を与えるので危険です。

控室では後手を推す声が強いですが、その度合いには個人差があります。かなり後手がいいという棋士もいれば、一気に決まるわけではないという棋士もいます。

Q012 (石田九段と藤田女流初段がモニターを見ている)

(牛蒡)

=== Copyright (C) 2009 >>> The Sankei Shimbun & Japan Shogi Association === All Rights Reserved. ===