カテゴリ

« 関係者の昼食 | メイン | 対局再開 »

2009年7月17日 (金)

【梅田望夫最終局観戦記】 (6) 昼食休憩時の形勢:微差で後手が指せるのではないか

 さて、コンピュータ対人間の話はさておき、羽生棋聖対木村挑戦者の形勢、という今日の本質に話を戻そう。

 昼食休憩に入った局面で、三浦さんは「NHK杯戦のような短い時間の将棋なら、相当後手が勝ちやすいでしょう」と、形勢についての感想を述べた。先手の3八金と2八銀の形が悪いうえ、後手は玉が堅く、7筋から銀を繰り出しての攻めもあるので、先手が長い時間を持って細かく対応していけない場合(短い時間の将棋だと)、後手が勝ちやすいのではないか。でも今日の午後いっぱいかけての長い将棋なので、まだまだどうなるかわからないとのこと。

 また立会人の屋敷さんも「微差で後手が指しやすいと思う」とのこと。勝又さんも同意見。後手がいまわずかながらも良さそうなのは、羽生さんの構想力による、先手の馬の働きがそれほどでもなく、8筋の守りに右側の金を使わずに玉側に寄せて囲いを堅くしていく羽生さんの構想力が、2八銀の代償に馬を作った木村さんの構想力の上を行っているのではないか、というのが勝又さんの解説だ。しかし深い研究をしている木村さんは、このあたりまで研究会で経験済みで、さらに先に秘策が用意されている可能性もあると、控室の皆が思っているようだ。

 昼食休憩後の羽生さんの「次の一手」は△6四銀。三浦さん指摘の通りの、7筋から銀を繰り出しての攻めの姿勢を見せ、ほぼノータイムで木村さんは8三に歩を成り捨てた。

 ちなみに、GPS将棋の予想展開は、51手目5六飛の後は、「△4二金上▲3六歩△6四銀▲3五歩△2三銀▲2六飛△2四歩▲6八銀△4四角▲8三歩成△同歩▲3四歩△5五銀▲3三歩成△同金右▲6五馬」であった。

 追記: 午後1時25分段階で、ばたばたと57手目▲7五歩まで進んでいる。「ここが勝負どころですね。もしこの▲7五歩が良い手で先手が盛り返しているとすると、羽生さんの△6四銀よりも、GPS将棋の△4二金上のほうがよかった、ということになるかもしれません」(勝又さん談)

=== Copyright (C) 2009 >>> The Sankei Shimbun & Japan Shogi Association === All Rights Reserved. ===