2011年3月

2011年3月18日 (金)

275
(浦野真彦七段は感想戦も熱心に取材)

浦野真彦七段の総評
「全体的には竜王が序盤から押していたと思います。機敏な▲5七銀でリードを奪い、飛車交換の後も▲5二銀から▲6一銀成という思いつかない妙手順で勝ちになりました。終盤の▲7五歩からも安定した勝ち方と思ったところで、落とし穴がありましたね。△7六玉の場面は△8六玉が第一感なので、盲点になりやすいところだと思います。タイトル戦では珍しい最終盤での大逆転でした。観戦して頂いたファンの皆様、長時間ありがとうございました」

五番勝負は本局をもちまして幕を閉じます。第37期の予選は既にスタートしています。来期もお楽しみに。

(翔)

感想戦終了後、改めて久保棋王にインタビューが行われました。

299

--今日の将棋は、負けと観念した時間が長かったのでしょうか
久保「最後は時間もないですし、負けだろうなぁと思ってやっていました」
--感想戦に出ていた、▲5一角(99手目▲8二角に代えて)は読んでいましたか。
久保「▲5一角の王手は見えますが、△6二桂と受けたあとの▲5三歩は見えてない。必至で、受けがないですね」
--控え室では逆転と言われていました。
久保「自分でもびっくりしました。最後は負けと思っていました。△7六玉がぴったりでした」
--今年の2月と3月を振り返ってください。
久保「大変でしたが、なんとか乗り越えられてよかったです」
--今週、王将戦で豊島将之六段を相手に防衛したことはいい影響を与えましたか。
久保「区切りにはなりましたが、1局1局の対局自体は集中して指すだけですから」

307

--いつも言われている「楽しんで指す」ということはできましたか。
久保「いい意味でプレッシャーもなく指せたと思います」
--今年は棋王戦も王将戦も防衛戦でした。挑戦と防衛戦の違いはありましたか。
久保「大変ですが、その中で結果を残せたのはよかった。将棋盤に向かってしまえば挑戦者でもタイトルホルダーでも気持ちは変わりません。普段通りやれたと思います」
--久保棋王は毎年新しい気持ち、言葉を持って指しています。今年は?
久保「今年はなかったですが、今に集中するということを意識した。目の前の将棋をがんぼろうという意識が強かったです」
--先週大きな地震がありました。
久保「現状でも大変な皆さんが多い中、複雑な気持ちはありました。でも精一杯やるしかないと思いました」
--渡辺竜王の強さ、凄みは何でしょう。
久保「私より実績が上なので、私がコメントするのも……。強いのは前からわかっていることですし」
--王将戦も含めて年下とのタイトルマッチが続きました。
久保「相手と戦おうとするといろんな人と戦う必要がありますが、自分との戦いにしてしまえば相手は関係ない。相手が誰ということは気にしなかったです」
--同じ週に2つのタイトルを防衛するのは珍しいと思うのですが。
久保「どっちも逆の目なら続いていたので、よかったと思います」
--来年度の抱負を
久保「自分のテーマを決めて、来年に向かっていきたいです」

309

(翔)

久保利明棋王の談話
「勝ちを意識したのは最後の最後です。△7六玉(106手目)あたりまで気づいていませんでした。序盤は▲5七銀と引けないと思っていたのに引かれてしまい(41手目)、苦しくしました。△5三飛(54手目)はこれ以外に受けがないと思いました。この将棋も負けだと思っていたし、(この五番勝負は)大変な将棋が多かったです」

渡辺明竜王の談話
「(106手目△7六玉では)△8六玉しか読んでおらず、それで勝ちだと思っていました。△7六玉を指されて、少し考えてダメだということがわかりました。(41手目▲5七銀は素晴らしい構想では?)しかし攻め急いで飛車交換になったので(63手目)、失敗したかなと思っていました。ただ終盤は勝ちだと思って指していました」

268
(穏やかな表情で感想戦を進める久保利明棋王)

282
(感想戦では笑みを浮かべることもあった渡辺明竜王)

278
(20人近い人数の棋士、奨励会員が感想戦を見ていた)

(翔)

235
(大盤解説会場に両対局者が登場)

233
(久保利明棋王、渡辺明竜王)

245
井上「(93手目に)▲6三銀は?」
久保「そんな手あるんですか? 大丈夫ですか?」
井上「他人(ヒト)の将棋やから」(場内笑)

246
(久保棋王と井上九段はともに兵庫県加古川市の観光大使を務めている)

248
(終盤を中心に感想戦が行われた)

250
(「(101手目は)ずっと▲7二龍で勝ちと思っていました。指す直前に▲6三龍もあると気付いたんですが、いろいろ考えるのはよくないと思って▲7二龍と指しました」(渡辺竜王)。逆転負けの心理を吐露。さすがのサービス精神だ)

259
(両対局者が退場したあと、井上九段は大きなため息をひとつ。「▲7二龍と▲6三龍。1つの違いが大きな違いやったんですねぇ」)

(翔)

223
(インタビュー終了後、関西将棋会館2階で行われている大盤解説会に出演することに。久保棋王以上に、渡辺竜王は深く数回うなずき、立ち上がった)

224
(大盤解説会場に向かう渡辺竜王と久保棋王)

226
(投了図が対局室に残された)

(翔)

186
(3連覇を果たした久保利明棋王。終局直後、表情が硬い)

191
(久保棋王へのインタビューが始まる)

199
(微動だにしない渡辺竜王)

202
(久保棋王「ずっと悪かった」と語った)

210
(渡辺竜王だけでなく、久保棋王もうつむいたままだ)

213
(続いて渡辺竜王へのインタビューが行われた。「△7六玉(106手目)を指されて、しばらく考えて負けだとわかった」)

(翔)

Kiou201103181_118 第36期棋王戦五番勝負第4局は、19時8分、118手までで久保棋王の勝ちとなりました。消費時間は▲渡辺3時間59分、△久保3時間58分。この結果、五番勝負は久保棋王の3勝1敗となり、久保棋王の防衛。3連覇を達成しました。

(翔)

Kiou201103181_1064階控え室で「『色めき立つ控え室』か!?」と言われ出した局面。
3階棋士室の検討陣に「4階では『色めき立つ控え室』と言われていますが」と言うと「はい、色めき立っています」。
逆転して後手勝ちになったのかもしれません。△7六玉が利いており、現局面は先手玉に詰めろ(△7九飛成▲同玉△7八銀打▲同金△同銀成▲同玉△7七角成以下)がかかりました。前期第5局に続き、関西将棋会館でドラマが生まれるのでしょうか。

184
(色めき立つ控え室、その1)

185
(色めき立つ控え室、その2。しばらく雑談していた検討陣は「どうしてこうなったの!?」)

(翔)

Kiou201103181_93 ▲6三銀と思われていた局面で、渡辺竜王は▲7五歩。「▲6三銀では自玉に王手をかけられるので、慎重に行きましたね」と検討陣。立会人の脇八段は「辛いですね」とぽつり。

177
(モニターを見つめる浦野七段)

179
(脇八段が記者向けに解説を行っている)

(翔)

172
(75手目▲5二銀の局面で次の一手が出された。正解発表のとき、井上九段は6三金を右に左に動かしながら「おっちゃんはこっちにしたん? さぁ~どうやろ?」)

168
(「井上先生の大盤解説はおもしろいので見に来ました」と言うのは…)

171
(室谷女流1級、村田女流二段)

(翔)