第29期女流王位戦五番勝負第4局

2018年6月13日 (水)

インタビューの様子

感想戦終了後、初タイトルを獲得した渡部愛 新女流王位に改めてインタビューが行われました。

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Img_7303感極まって涙ぐむ場面も見られた。

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【渡部愛新女流王位のインタビュー】
――初タイトルの実感を聞かせてください。
「そうですね、実感はまだちょっとわかないんですけど。課題が多く残ったシリーズでもありましたので、次の女流王位戦を迎えるまでに、また強くなれるように頑張りたいと思います。

――本シリーズの勝因はどこにあると思いますか。
「よくも悪くも、自分の指したい手を指そうと思ったのがよかったのかなと思います」

――今度はタイトルホルダーという立場になりますが、それについてはいかがですか。
「身の引き締まる思いといいますか、もっとしっかり将棋を頑張りたいなと思います」


以上で、第29期女流王位戦の中継を終わります。
ご観戦誠にありがとうございました。

(八雲)

感想戦の様子

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(八雲)

終局直後の様子

Img_7147終局直後の様子。

Img_7134 熱戦を制して初タイトルに輝いた渡部愛新女流王位。

【渡部愛新女流王位の談話】
――本局を振り返って、仕掛けのところはいかがでしたか。
「▲3五歩を先に突いての仕掛けだったので、それをとがめられるとこちらが悪くなると思ったのですが――でも、大変だなとは思っていました」

――中盤はいかがでしたか。
「指す手がわからなくって。▲6六歩~▲6七金(69手~73手)あたりも、ちょっとどうだったかわからないです。お互いに手の難しい将棋だったのかなと思います」

――寄せ合いに入ってからはいかがでしたか。
「香を取られる(96手)のでは、ちょっとおかしいかなと。あのあたりは急に見えなくなってしまいました」

――どのあたりで手応えを感じましたか。
「▲5五桂(107手)が入ったあたりで勝ちになったのかなと思いました」

――今シリーズを振り返っていかがでしたか。
「全体的に、自分のいいところも悪いところも全部出るような将棋だったのかなと」

――初タイトル獲得となりましたが、それについてはいかがですか。
「そうですね、他の棋戦も負けていますし、あまり実感はないのですけれども。でもまた、しっかり望んで、力をつけることを第一に頑張っていきたいなと思います」

Img_7150 里見前女流王位は女流五冠から一つ失って女流四冠に。

【里見香奈前女流王位の談話】
――本局を振り返って、仕掛けのあたりはいかがでしたか。
「難しい分かれかなと思っていました」

――中盤はいかがでしたか。
「もう少し強く踏み込むべきだったかなと思ったのですが、ちょっと自重してしまって。少し苦しいかなと思っていました」

――終盤もギリギリだったかと思いますが、どのように見ていましたか。
「そうですね、ちょっと間違えてしまったので。腰を落として時間を使うべきだったかなと思います」

――シリーズを終えていかがですか。
「大きなミスも小さなミスも、結構目立ってしまったシリーズだったかなと思うので、結果は仕方がないです。今後は、そういったところを直していけたらなと思います」

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(八雲)

渡部が初タイトル、女流王位を奪取!

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第29期女流王位戦五番勝負第4局は、139手で渡部女流二段が勝ちました。終局時刻は19時14分。消費時間は▲渡部女流二段3時間59分、△里見女流王位3時間59分。この結果、渡部女流二段が3勝1敗でシリーズを制覇。初の女流王位に輝きました。

(夏芽)

再び先手優勢に

107渡部女流二段は▲3三桂の捨て駒を放ち、△3三同金で瞬間的に2二角の利きが止まったタイミングで▲5五桂の王手を放ちました。この手が非常に厳しく、控室では急転直下、先手が優勢になったのではないかと見ています。

(八雲)

しのいだかどうか

94時刻は18時を回りました。
里見女流王位は、自陣に詰めろがかかった局面から飛車を切り、王手香取りの△4六角を放ってしのぎます。これで逆転しているかどうかは難しいところですが、ピンチはひとまず脱したようです。最終盤を迎えて、形勢は混沌としてきました。両者、力を振り絞って指し続けています。

【18時25分追記】
Twitter解説の阿部健七段は、この△4六角を見て評価を後手有利に改めました。

■Twitter解説■
阿部健治郎七段>△4六角の王手香取りがありましたね…△7七飛成に▲同玉は△5三銀がやはり王手香取りなので、▲6四香は厳しいように見えて罠でした。89手目は▲5八金と逃げておくほうが良かったかもしれません。(後手有利)

(八雲)

検討陣は先手持ちに

81図は17時30分を回りました。
▲8六桂は、次に▲7六歩で後手の飛車を取る狙い。辛抱する後手に対して、先手は好調に攻め続けている雰囲気です。Twitter解説の阿部健七段はこの局面で評価を先手持ちにしました。控室の検討陣も、先手優勢と見て検討を続けています。

■Twitter解説■
阿部健治郎七段>先ほどまで里見女流王位に主導権があった気がしますが、現在は渡部女流二段がうまく手を作った気がします。▲8六桂は地味ながら、▲7六歩(飛車詰み)を狙った厳しい手です。△6五歩のところでは△9三同桂がまさった気がします。(先手有利)

(八雲)

後手の辛抱

7617時過ぎ、里見女流王位は▲6五歩に対して、じっと△9三歩と受けました。次に▲6六銀とされると飛車を切っていくしかなさそうですが、ここは辛抱して自陣の安全を図った格好です。
「△9三歩は、冷静な受けなのか、少し弱気な手なのか。難しいところですね」(武市七段)

(八雲)

形勢不明に

70図は15時50分頃の局面。
△3六歩は控室やTwitter解説の阿部健七段の予想になかった手です。渡部女流二段も意外だったのか、ここで長考しています。
「1手前の▲6六歩も、この△3六歩も、直線的な順を避けた格好です。大一番で互いにプレッシャーがかかり、慎重な手を選んでいる感じがします。これは長い勝負になるかもしれませんね」(武市七段)
Twitter解説の阿部健七段も「形勢不明」に評価を改めています。

■Twitter解説■
阿部健治郎七段>△3六歩は後手の飛車を横に使う意味でしょうか。▲6七金右△7五飛▲7六歩に△2五飛となれば主張が通っています。ボンヤリした手なので、渡部女流二段は悩むかもしれません。(形勢不明)

(八雲)

午後のおやつ

15時をまわり、対局者におやつが運ばれました。注文は渡部女流二段が「フランボワーズショコラ」と「すだちジュース」、里見女流王位は午前中と同じく「エスプレッソ」でした。

Img_7111「フランボワーズショコラ」と「すだちジュース」。

Img_7108 「エスプレッソ」。

(八雲)

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