第21期女流王位戦五番勝負第4局

2010年6月17日 (木)

本日の棋譜

第21期女流王位戦は3勝1敗で甲斐女王が制し、新女流王位の誕生となった。

及川四段は本局を振り返って次のように語った。
「序盤は先手が飛車先を突かない工夫をして5筋から逆襲し押さえ込めそうでしたが、35手目の▲同銀成を境に後手の駒が捌けてペースをつかんだ感じです。その後は、お互い持ち味を出して息長い戦いが繰り広げられましたが駒が捌けているぶんの後手の良さがそのまま勝負に直結したようです。 観戦者のみなさん、ありがとうございました。甲斐新女流王位おめでとうございます」

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(最後までご観戦いただき、ありがとうございました)

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感想戦

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インタビュー

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【甲斐智美女王】
「序盤で一歩交換したのを逆用されてしまったかなと。昼食休憩のあたりでもっと激しく攻めて来られるかと思っていました。△5六歩(50手目)から△4五桂と跳ねて、次の△5七桂打が厳しいので、そこで良くなったと感じました。勝ちを意識したのは△5一香(78手目)と打ったところです。内容的には負けていた将棋もあったので、幸運だったかなと思っています」

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【清水市代女流王位】
「▲3六歩(21手目)から▲3七桂と跳ねてしまったのが良くなかったかもしれません。ですので、▲3六歩のあたりで穏やかにする順を考えなければいけなかった…構想の判断ミスが最後まで響いてしまいました。昼食休憩以降はずっと苦しかったと思います」

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終局直後

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(勝利した甲斐女王)

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(清水女流王位は失冠)

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甲斐新女流王位誕生!

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図の△7九銀まで、92手で清水女流王位の投了となった。終局時刻は18時17分。
甲斐女王は今シリーズを3勝1敗で制し、女流王位の座に就いた。これで女王に続き連続でのタイトル奪取。いっぽうの清水女流王位は2月の女流名人に続いての失冠。いよいよ女流棋界にも、本格的に世代交代の波が寄せてきたか。

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不屈の粘り、冷徹な指し手

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18時ごろの局面。清水女流王位は虎の子の銀を自陣に投入。最後まで諦めない姿勢を見せる。しかし、「これは勝ち目がなくなりました」と東七段。ため息をつきながら首を振った。
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対する甲斐女王の指し手は△5一香! 自陣を補強しつつ、5筋に数を足して確実に、確実に指し進める。控え室では終局に備えて関係者が動き始めた。

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先手に希望はあるか

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18時前の局面。清水女流王位が一瞬の隙を衝いて反撃に出たところだ。控え室では「おっ、これは一筋の希望になるか」とモニタに視線が集まる。図の局面に至るまでの甲斐女王の攻め方が、最善でなかった可能性があるようだ。本譜は検討の順に比べ、若干損な攻め方になっている。具体的には、72手目△5九とに代えて△5七歩がよかったのでは、とのことだ。

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終局間近か

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図は17時半ごろの局面。甲斐女王がじりじりと着実に先手玉への距離を詰めていく。控え室には「終局間近」のムードが漂う。

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(清水女流王位。頻繁に姿勢を変えている)

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(甲斐女王はいつものポーカーフェイス。心境が読めない)

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着実に、手堅く

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図は17時ごろの局面。角取りの先手でガッチリと△6三銀打。金銀二枚だった美濃囲いが、いつの間にか「ダイヤモンド美濃」と呼ばれる堅陣になっている。△3五桂は、東七段が「うへー。それは率が悪すぎるけどな」と驚いた手だが、こう進めば着実に先手陣に迫る「間違いの起きない手」に見えてくる。「そうか、どこまでいっても苦しいか」と佐藤八段。後手陣は鉄壁なので、あとは切れない攻めを続ければよい。甲斐女王、着実に、手堅い指し手を積み重ねる。そろそろゴールが見えてきただろうか……?

(文)

清水女流王位、じっと受ける

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図は16時半ごろの局面。控え室では▲4三飛が検討されていたが、△5七桂打からの攻めが速く、先手の攻めは追いつかないようだ。清水女流王位は▲4六角と打ち、5七の地点を補強して受けた。つらい手だが、勝負を投げ出さずに最後まで粘ろうとする意志を感じさせる。「ここはしっかり寄せないと」と東七段。具体的に決めきる手順はまだ発見できていない。

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(清水女流王位。対局者カメラによる対局室の様子)

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(甲斐女王)

(文)

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