2012年11月10日 (土)

午前中は棋道部で指導対局が行われた。

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(安食女流初段)
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(矢内女流四段)
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(青野九段)
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(プロ棋士の色紙や棋書が置かれている)
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(故・廣津久雄九段は青野九段の師匠)

38図の局面で12時になり昼食休憩。
対局は13時に再開する。
消費時間は▲本田46分、△加藤50分。
(持ち時間は各3時間)


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(休憩中の対局室)

将棋界には「55年組」という言葉がある。昭和55年度にプロになったグループである。高橋道雄九段や中村修九段など、才能あふれる若手が数多く誕生した。その中には初代竜王になった島九段や不滅の28連勝(1987年)を記録した神谷七段もいる。

しかし島九段と神谷七段には、もうひとつつながりがある。奨励会入会の同期なのだ。島九段は昭和50年5月、神谷七段は同年11月に入会。そしてもう一人、康次さんも11月に入会している。奨励会当時や棋道部顧問時代の康次さんはどのような方だったのだろうか。

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「奨励会では1回対戦して負けたような記憶があります。よく話もしました。みなさんがおっしゃるように誠実な方でした。うまく言えないのですが、青年としての良い部分は残したまま、まっすぐに大人になられたような印象があります。
藤枝明誠に赴任されてからは高校選手権などで何度もお会いしました。優しさと厳しさと情熱を持った先生だったと思います。当時、加藤さんのお葬式にうかがったのですが、生徒さんの様子を見て、それがよく分かりました。前期第4局の観戦記でも、そのことを書かせていただきました」(島九段)

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神谷七段は康次さんと同じ静岡県出身。将棋世界2008年11月号に追悼文も寄稿している。

「加藤さんは私よりも4歳ほど年上。1975年の秋の暮に一緒に奨励会に入りました。加藤さんは18歳6級で入会(当時と今では入会規定が違う)、1年後に4級で退会されました。その後、勉強しなおして大学に入り、教員免許を取って藤枝明誠に赴任されました。非常に穏やかな方でしたが、指導では厳しさも忘れなかった。加藤女流王座に対してもそうだったかもしれませんね」(神谷七段)

ちなみに神谷七段は棋道部の指導も担当している。

「加藤さんが赴任して、藤枝明誠はすごい勝つようになった。女子が個人や団体で全国優勝したりね。しかしその後、少し勝てなくなった。(交流戦をしていた)長野の伊那北高校にも全然勝てなくてね。そこで加藤先生に電話して、自分を売り込んだんです。私が教えれば勝てるようになるだろうってね、当時の私はちょっと勘違いしていたんですね(笑)。それが18年前の秋。加藤女流王座がお母さんのおなかの中にいたときの話です。指導は今でも月1回のペースで続けています」(神谷七段)

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(将棋世界2008年11月号に掲載された追悼文の一部)

藤枝明誠・棋道部には有名な顧問がいた。加藤女流王座の父親である故・加藤康次さんだ。84年に国語の教師として赴任して藤枝明誠高校を全国クラスの強豪に育てあげた。普及面での貢献も大きく、高校将棋女子選抜大会の創立・運営は康次さんの存在なしには語れない。

プレーヤーとしては安恵照剛八段の門をたたき、75年から1年ほど奨励会に在籍した(加藤女流王座も安恵八段門下)。亡き父が果たせなかったプロ四段の夢は加藤女流王座が引き継ぎ、現在は奨励会1級で戦っている。

加藤女流王座と康次さんのエピソードは将棋世界2011年12月号や2012年1月号に詳しい。以下、12月号から加藤女流王座の言葉を紹介する。当時は第1期五番勝負出場を決めた直後だった。

「奨励会に入ったのが小学校6年生のときなのですが、私がガンコで戦法のことでちょっと言い合いになったときには、あんまり言うことを聞かないもので、素直になれって、生涯ただ一度のビンタをされた思い出があります。父も負けず嫌いで、研修会のときには毎回結果の報告をしていたのですが、負けた報告をすると私以上に悔しがって、勝った報告をすると私以上に喜んでくれました」

藤枝明誠のHPには前期の加藤女流王座誕生の記事も掲載されている。

【加藤桃子女流王座誕生!!】
http://www.fgmeisei.net/topics/2011/121220111212-1.html

藤枝明誠高等学校は中高一貫教育の私立学校。教育方針として文武両道を掲げている。

運動部では陸上、サッカー、バスケ部が全国クラスの強豪として有名だ。
陸上部OBの飯塚翔太さんはロンドン五輪400メートルリレーで5位に入った。
現役1年生の角野亮伍さんは史上最年少でバスケ日本代表候補に選ばれた。
サッカー部は現在進行中の第91回高校サッカー選手権静岡県大会でベスト8進出。
準決勝を目指して本日10時から藤枝北高校と対戦する。

【ロンドン五輪第16日 メダル37個、アテネと並び最多】
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK12002_S2A810C1000000/

そして文化部では棋道部(将棋部)が活躍している。
男子は8月に行われた高校将棋選手権で団体準優勝、高校将棋竜王戦では2年生の阿部俊貴さんがベスト8に入った。1月の全国高校将棋新人大会では当時1年の友田敦也さんが優勝している。ちなみに阿部さんと友田さんは前夜祭で対局者に花束を贈呈した。
女子も全国高等学校将棋選手権大会で過去5回優勝の強豪。3月の高校将棋女子選抜大会では当時2年の山田早織さんが出場している。1回戦の相手は今月4日に女流棋士3級の資格を取得した北村桂香研修会員だった。

なお、高校将棋女子選抜大会の主催は日本将棋連盟と藤枝明誠を運営する学校法人藤枝学園。藤枝学園は9月に大山康晴賞を授賞している。

【第19回大山康晴賞授賞式の模様】
http://www.shogi.or.jp/topics/2012/09/19-6.html
【北村桂香研修会員が女流棋士3級の資格を取得】
http://www.shogi.or.jp/topics/2012/11/post-641.html

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