2015年11月28日 (土)

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入玉を目指して点数勝負と言われていましたが、伊藤女流二段は果敢に後手玉を寄せに行きました。

加藤女流王座は126手目から一分将棋。伊藤女流二段は7分残しています。

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△6一金で取られる筋があった6二の角が生還し、先手も点数が足りる可能性が出てきたと言われています。持将棋は双方相入玉の際に勝負を決める規定で、玉は0点、飛角(大駒)5点、その他の駒(小駒)1点でそれぞれの駒を数え、双方が24点に達したら引き分け(持将棋成立)、片方が23点以下の場合は負けになります。

また「入玉宣言法」も採用されています。詳しくはこちらをご覧ください。

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(大盤解説会に出ていた斎藤六段と室田女流二段が控室の見解を尋ねに戻ってきた)

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(モニターを見つめる)

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(千田五段は「終局近し」と言われていた際にパソコンを片づけていた。現在は継ぎ盤に向かっている)

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(本局の観戦記を担当している馬上勇人さんはずっと対局室に入っていたが、控室に戻ってきた)

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加藤女流王座が9筋から攻めますが、伊藤女流二段も玉を泳ぎ出しています。

立会人の淡路九段は「対局規定はありますか。持将棋になったときのことを確認させてください」と担当者に声をかけました。

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△3四銀に対し、伊藤女流二段は18分考えて▲2三銀不成と指しました。▲5三竜△同桂▲2三とで先手勝勢と見ていた検討陣からは「あっ!」と声が上がります。以下、△3五銀左▲6二竜△4四玉と進み、後手に入玉の可能性が出てきました。

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こうなると後手の強みは1八馬の存在。「馬の守りは金銀3枚」と呼ばれる強力な守り駒に玉が近づいていきます。残り時間は▲伊藤女流二段10分、△加藤女流王座3分。

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(検討陣からは戸惑いの声)

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上図で伊藤女流二段が考えています。控室では▲5三竜△同桂▲2三と△4四玉(△2三同銀は▲4三金まで)▲2四と(参考図)で先手勝勢と言われています。

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参考図は3四銀も取れる形で、「金銀8枚が先手に渡るので、逃げきるのは難しい」と言われています。

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(17時半頃の控室)

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コンピュータソフトによる検討を積極的に取り入れている千田翔太五段は現局面のソフトの読み筋や評価値を踏まえて「評価値は先手持ちです。先手が寄せきりそうな手順もありますが、まだ間違えれば逆転してしまうという状況です」

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(継ぎ盤のひとつ。「決めに行ったら入玉されました」と、先手側を持っていたある棋士の弁)