2012年2月10日 (金)

20120210_kato1
(謝辞を述べる加藤桃子女流王座)
「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 今回、リコー杯女流王座戦に修行中の身である私、奨励会員の参加が認められ、出場させていただけたことに感謝いたします。ありがとうございます。出場決定発表時には驚きの気持ちとともに、とまどう気持ちもありました。
 あの大震災の日、私は将棋会館で記録係を務めていました。交通手段がなくなったため、その日対局があった森下(卓)先生と歩いて帰りました。そのときに迷っていた気持ちを打ち明けたところ、森下先生は『それは出る一手です』とお答えになられまして、私の気持ちが固まりました。
 一斉予選が始まり、本戦に勝ち上がっていくにしたがって内容も良くなり、力も出して行けました。それと同時に、奨励会の成績も良くなりました。
 五番勝負出場決定戦では同じ奨励会員である伊藤沙恵さんと戦いました。伊藤さんと初めて出会ったのは、なんとリコー将棋部の合宿に参加させていただいたときです。当時は互いに小学生でしたが、何かのご縁かなと思っております。
 今回、五番勝負を戦う相手、将棋に対する姿勢が素晴らしい清水先生に決まったとき、憧れていた先生と指せることができるうれしさに、いまのままの勢いだけの私ではいけないと思いました。
 そして迎えた五番勝負、第1局から第3局の場所は高級ホテルを使わせていただきました。
 第1局の場所、こちらのホテルニューオータニでは関係者の皆さまとの会食のときに、普段は食べられないようなおいしいご料理をいただきました。対局前のスピーチですが、清水先生先生がとても丁寧で気遣いが素晴らしかったです。
 第2局は愛知県のホテルフォレスタでした。地元の方々の暖かい声援に迎えられてとてもうれしかったですし、対局場から見える景色は緑がいっぱい広がっていて気持ちよかったです。移動の際に清水先生にお声をかけていただいて、いろんなことを話しました。おかげでだんだん緊張がほぐれました。第2局のあとに安恵先生から励ましのお電話をいただきました。さらに棋譜まで並べていただいていて、本当にありがたく思いました。
 第3局は大阪のザ・リッツ・カールトンでした。3局とも母も一緒だったのですが、エグゼクティブスイートという部屋をご用意していただいて、部屋に入った瞬間にとても広くて驚きました。『ああ、こんな家に住みたい』と感激してしまいました(笑)。前夜祭の会場では、たくさんの将棋ファンの皆さまとお話しできて楽しかったです。
 将棋の内容は宣言通りにゴキゲン中飛車を採用しました。これは今回の五番勝負のテーマにしていた『自分の成長のため』ということから最初から決めていました。第3局に向けて、兄弟子の永瀬先生にはいろんなことを教わり、鍛えていただきました。ずっとお世話になっており、いまでも週1ペースで教わっています。鬼のようでも優しい先生で、本当にいつも感謝しています。ありがとうございます。
 第4局は内容は善戦したと思いますが、やはり優勝ということを意識しすぎてしまったせいか、逆転負けしてしまいました。多少引きずりはしましたが、気持ちを切り替えることを最優先し、第5局では大好きなうなぎの量も増やして気合を入れました。
 昨年から取り上げていただいている日経新聞社さまの取材の記事や自分の対局の足跡となる観戦記を載せていただくということは、とてもうれしいです。さらに家族や周りの方がその記事を読んで喜んでいただいている姿を見て、『ああ、もっと頑張ろう』という気持ちになります。本当にありがとうございます。
 五番勝負を戦って、たくさんの方々のご協力によりこの棋戦が成り立っていること、そして、清水先生と盤を挟んで戦うことでいままでと違う自分を見つけることができたこと、若いうちからこのような経験をさせていただいてうれしく思います。
 今回、女流王座というタイトルを預からせていただく形になります。修行中の身である私がタイトル保持者として何をすべきか考えた時に、いまはひらすら強くなること、来期のタイトル戦ではさらに強くなった私の将棋を見ていただくことだと思っております。
 棋戦の最中に知り合うことができました将棋ファンの皆さま、小学生のときに静岡の地元で大変お世話になり、いまでも応援していただいている方にも感謝しております。
 五番勝負出場が決まってから今日にいたるまで今回担当していただいたリコーの馬上さんには何から何まで大変お世話になりまして、言葉に表せないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。
 研究会で鍛えていただいている先生方、一門の兄弟子の先生方には将棋だけではなく、礼儀も教えていただいております。
 最後になりましたが、主催者である株式会社リコーさま、特別協力の日本経済新聞社さま。将棋ファンの皆さま、そして、関係者の皆さまに感謝の気持ちをお伝えし、私の謝辞に代えさせていただきます。本当にありがとうございました」
20120210_tanigawa
(谷川浩司・日本将棋連盟専務理事が閉会のあいさつをした)
「今日のスピーチは素晴らしいもので、後でしゃべる私もつらいものがあるのですけども、五番勝負も第4局の逆転負けから第5局まで1週間もない中で気持ちを立て直し、プレッシャーを跳ねのけて見事に勝たれました。技術的なことはもちろん、精神的にも大きな成長があったのではないかと思います。
加藤さんは現在奨励会員ということで、男性に交じって四段を目指して頑張っていただきたい。
 若くして亡くなられたお父さまの遺志を継ぐことが、彼女の気持ちの強さにつながっているのだろうと思います。
 何年か後になって、加藤さんが四段になって『女流王座戦の経験があったから、奨励会を卒業できました』というコメントが聞ける日を楽しみにしております」
20120210_kato2
(就位状を広げる加藤女流王座)
20120210_kato3
(優勝杯を手に)
20120210_kato4
(リクエストにこたえて笑顔でピースサイン)
20120210_syuishiki1
(師匠の安恵照剛八段や安恵門下の兄弟子と記念撮影)

(銀杏)

2012年2月9日18時30分から東京「ホテルニューオータニ」にて第1期リコー杯女流王座就位式が行われました。
そのときの様子を写真を中心にレポートいたします。

20120210_syuishiki3
(就位式はホテルニューオータニの「芙蓉」にて行われた)
20120210_syuishiki2
(就位式会場の前では、昨年11月に発売開始された世界最小のプロジェクターIPSiO PJ WX4130(詳しい仕様などはhttp://www.ricoh.co.jp/projector/pj/wx4130/ をご覧ください)でプロモーションビデオを映していた)
20120210_fukuyama
(司会はフリーアナウンサーの福山知沙さんが務めた。福山さんはNHKの囲碁・将棋フォーカスの総合司会者として活躍中)
20120210_kondo
(近藤史朗・株式会社リコー代表取締役社長執行役員あいさつ)

20120210_yonenaga
(米長邦雄・日本将棋連盟会長あいさつ)
20120210_kato5
(リコー杯女流王座戦プロモーションビデオ(就位式編)が放映された)
20120210_yasue
(加藤女流王座の師匠である安恵照剛八段の祝辞)
「大変厳しかったと思いますが、小学生のころに静岡県から将棋留学されました。対局のときはよそ見をせず、切磋琢磨に頑張る姿が印象的でした。
 桃子さんの将棋は中終盤型と思っていましたが、最近では序盤も詳しいし、将棋に対してひたむきです。同門の棋士とひけを取らないと思います。
 今回優勝しましたが、これからが勝負です。加藤桃子の文字を取って、『桃栗3年、柿8年』という心情で頑張ってほしい。柿8年のあとに『ユズはぐずぐず18年』とあります。ぐずぐずしないように上を目指してほしいと思います)
20120210_syuishiki7
(加藤女流王座と瀬川晶司四段による五番勝負第4局の解説。「忘れてはならない将棋です」と加藤女流王座)
20120210_syuishiki9
(就位状、優勝杯、賞金目録、記念品)
20120210_syuishiki10
(主催者の株式会社リコーからプロジェクターのIPSiO PJ WX4130(当日は目録)と昨年12月に発売されたばかりのデジタルカメラのCX6 http://www.ricoh.co.jp/dc/cx/cx6/が贈呈された)

(銀杏)