2017年5月21日 (日)

記者会見(3)

続いて【第2期電王戦の全体を振り返って】に対する回答です。

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◆佐藤天彦叡王
「結果は連敗となってしまいました。内容としては、僕自身が本来持っている感覚や価値観を真正面からぶつけて敗れました。私の感覚や価値観の外にあるような、PONANZAの独特な感覚を見せられて、それによって上回られた2局だったかなと思います」

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◆PONANZA開発者・下山晃さん
「本局は後手ということもあって、序盤のほうは評価値もマイナスの値が出ていましたけど、そのあとは着実に指していけたのでよかったと思います」

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◆PONANZA開発者・山本一成さん
「いまのトップレベルのコンピュータ将棋は、自分で調べて自分で改良する強化学習が行われています。それによって人類があまり見たことのなかった形や、新しい感覚をつかんでいって、自立的に強くなっていくという状態です。ここで忘れてはいけないのは、ある程度強くなったからこそ、自主的にどんどん強くなれるようにもなったんですね。そしてどうやってコンピュータ将棋がある程度まで強くなれたかというと、それはプロ棋士という教師の何万もの棋譜を学習したから、そこまで到達できたんですね。これは多くの人工知能が同じような道筋をたどっていくと思いますけど、ただ最初は人間が種であった、始まりであったということがとても大事だったと思います。また逆に、いまはプロ棋士の方がコンピュータ将棋の知識・戦法・感覚について勉強されているとうかがっています。すごくよかったなと、その点について思っています」

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◆日本将棋連盟会長・佐藤康光九段
「序盤戦術に驚き、これが最先端を行くものなのかどうかは私には判断がつきませんが、いろんな指し方があることを教えていただいているのかなという感じはしています。1局目は佐藤叡王が力を出せないまま終わってしまったように思いました。しかし第2局は互いに力を出しきっていた将棋だと思います。第1期に続きましてPONANZA開発者の山本さま、下山さまがご尽力いただいて、このような素晴らしいソフトを作ったということで、また今回2局とも素晴らしい棋譜を残していただいたことに感謝申し上げます」

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◆株式会社ドワンゴ代表取締役会長・川上量生さん
「勝利されましたPONANZAの山本さま、下山さま、おめでとうございます。最後の電王戦ということで、感慨深く対局を見守っておりました。午前中は人間優勢で、午後3時あたりからがっぷり四つに組んだ展開だったと思います。6年前の、いちばん最初の電王戦も似たような展開だったなぁと思い返した次第です。そういった素晴らしい対局を見せていただいた佐藤叡王には感謝したいと思います」

(書き起こし:虹記者/写真:夏芽)